世間。 - 2005年10月09日(日) 一ヶ月ほど前、旦那の後輩の結婚式があった。 たった一回の行事に対して、新たな物を新調するのが彼のいつもの癖。 「新しいスーツとネクタイ、それにYシャツも欲しい」などと、 迫り来る、ローンの返済や様々な出費もまったく眼中にないようだ。 かといって、完全に「ダメ」だとは言えないのが辛いところ。 先輩として、ブシッと、いや、ビシっと決めたい気持ちも 分からないではない。 結局、私はしぶしぶネクタイとYシャツを買うことを許可したのだった。 「しぶしぶの許可」なので本当は買って欲しくないのである。 だから、買ってくるからには値が張る「質」よりも 「見た目が良い物」を重視して欲しかった。 だが、彼が買ってきた物は三十数年生きてきて、何故、自分の似合うものが わからないのだ?といったような、ピンクなんだか、白なんだかハッキリ しろ!と叫びたくなるぐらい薄いピンクのシャツと、 太い斜めのストライブの入った赤系のネクタイだった。 それでも、合わせて着るとそれなりなのかと思い、 試着してもらうと、なんと、ネクタイが異常に細くて短い。 今までに見たこともないバランスだ。 彼のでかい顔からネクタイがまっすぐ下に下りる様は まるで、夕張メロンにマッチ棒を刺したようだ。 棒を短く切った、チュッパチャップスと言っても良いだろう。 2人でゲラゲラ腹を抱えて笑った。 だが、途中、私以上に笑い転げる旦那を見て、 「買った本人がそんなに笑ってどうする!」と思ったら 急に怒りがこみ上げてきた。 一通り笑った私がその後、怒りの攻撃に転じたのは言うまでもない。 そのチビネクタイが、実は今流行りの「ナロウタイ」だと知ったのは、 最近のことである。 ちなみに、ナロウタイは「幅の狭いネクタイ」という意味らしい。 旦那に怒った激しさの分だけ、自分の世間知らずが身にしみた。 おしまい。 ... 水の中 - 2005年10月08日(土) 昨日は11月に入るマンションの説明会だった。 説明会を終え、夕方、旦那と丸の内界隈を歩く。 日の落ちかけた街に並ぶのは、こじゃれたブランドショップや オフィスばかりだ。 日頃、4歩も大股で歩けばすべての用が 足されてしまう、下町のアパートの一室にいる私には、 まったく遠い世界なのであった。 さて、駅に向かう途中、とてもきれいなオフィスを見かけた。 有名な外資系の証券会社であった。 ガラス張りで、壁には大型の液晶テレビがいくつもはめ込んであり、 映っているは海外の番組。 デスクや椅子もカツコイイ。絶対イタリア製に違いない。 中で働く人は首から、私が以前から憧れている社員証をぶら下げ、 服装は業界人と見間違うほどスタイリッシュだ。 この調子で行くと、オフィスの中は洋楽も流れているに違いない。 しかし、なんといっても私を驚かせたのは、 オフィスの中に巨大な水槽があったことだ。 割烹の生け簀を想像してはいけない。 中で泳いでいるのはとれたての鯛とかウナギではない。 ブルーのクリスタルな光に照らされた水槽は、 テレビと同様、壁はめ込み式。 中に泳ぐのは、もちろん熱帯魚である。水族館のようだ。 それにしても、何故、証券会社にアクアリウムなのだろうか? 社員の癒やしとして置いてあるのか? それは、刻々と変わる株価を追う日々が、彼らにストレスを ためさせるからなのか? 私がオフィス街という場所に通わなくなって6年になる。 この年じゃ仕事はかろうじてあっても、あんなお洒落なオフィスに デスクを構えるのは無理である。 私は水槽の中の魚たちに聞いてみたかった。 「どうやってそんな一流企業に就職したのですか?コネですか?」 おしまい。 ... パスタ。 - 2005年10月07日(金) 私は顔はブスだが、小さい頃から物覚えはいい方である。 前にこの日記に書いたかもしれない。 2年ほど前、高校時代の友人2人と話していた時、 3人にまつわる思い出を語る上で、一番細かく、いろんなことを 覚えていたのは私であった。 だが、そんな私に友人達は言うのだった。 「そんなに細かく昔のことを覚えてるなんて、婆さんじゃね〜の?」 心外であった。「すっご〜い!記憶力ばっつぐ〜ん!」といわれこそすれ、 年寄り扱いとは何事でぇい。 今日、スパゲッティー屋でランチを食べた。 「大葉としめじのパスタ」である。 私はその店が結構なお気に入りでとってもお腹が空いていたこともあり、 注文するときもウキウキ!だったのだが、 「おまちどうさまでした」と、テーブルの前に置かれたそのパスタを 一口食べた瞬間、顔をしかめざる終えなかった。 まずい。まずいというより、味がしない。病人食のようである。 塩っけがまるでないのだ。 私はハッ!と思い出した。 これは前にも食べたことがあるではないか。 そして、やはり同じ様な感想を持ったではないか。 二度と頼むか!と心の中でこっそり憤慨したではないか・・・と。 私はそれがまずいということはおろか、食べたことさえも 忘れていたのである。 やっべ。 本当にばあさんかもしれない。 おしまい。 ...
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