ヒトリゴト partIII
 Moritty



香港

2007年02月15日(木)



香港が中華人民共和国に返還されてから約10年。爆発的な拡大を続けてきた中国経済の余剰マネーの受け皿となった香港は、バブル真っ只中にいるようだ。ブランドものや高級ワインが飛ぶように売れているという。デリバティブのトレーダーをヘッドハントする場合、交渉の基準となる給料は最低2億円だという。好景気の中国から生まれたお金が香港の株式市場や不動産市場に流れ込み、さらに大きなお金を生む。東京都の半分ほどしかない国土で、これといった産業もないところで、莫大な資金が取引される。香港市場は既に沸点に達しているのではないかとも思える。

そんな背景もあって、私の勤める会社も香港にオフィスを新設することが決定した。香港はマーケットとしてとても面白いと思う。面白いけれども、その背景にある中国は云わずと知れた共産主義の国であって(忘れそうになるのだけれども)共産党有力者の鶴の一声で規制が変えられてしまうことだってある。インサイダー取引は日常茶飯事だ。健全な資本市場に必要な法的整備も十分ではなく、未だに多大な法的リスクや規制リスクと引き換えに取引を行っていることになる。会社の任務はまさしくその整備のための拠点を香港に設置するということであり、その意味はわからないではないのだけれど、一方で中国本土で荒稼ぎする欧米の資本主義者の手助けをするようで複雑な気分だ。

栄華盛衰というが、国も繁栄するときもあれば衰退するときもある。色々な意味でアメリカが世界のトップに君臨してからもう長いが(長すぎる)、そろそろ衰退の時期が来ているのかもしれない。当然アメリカ人も気付いているから、景気のいい中国や産油国にすがりついているように見える。

そう言えば、アメリカ人の元上司が言っていた。「これから10年もするとアメリカの時代が終わるだろう。そうなったらアメリカも他の国、例えば中国とかに、追従することになってしまう。そうならないように、今のアメリカみたいにひとつの国が突出した力を持たないような世界ルールを作るべきだと思う。今のアメリカならできる。でも10年後はもう無理だろう。」
うん、なるほど、それは賢いかもしれない。でも、10年も持たないかもしれないけれど・・・。

【写真:香港のタクシー(的士)】

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