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2004年01月27日(火) ■ |
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♪レニングラード国立バレエ『バヤデルカ』(1/27、28)『ジゼル』(1/30、31)ザハロワ、ルジマートフ、ペレン, BBSより |
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BBSより転載(観劇後、簡単に書いたものです)
レニングラード国立バレエ 『バヤデルカ』1/27公演 (ペレン、シェスタコワ、ルジマートフ)
実は、今年初バレエはマールイの「ロメオ&ジュリエット」だったのですが、あまりにもボヤルチコフ節炸裂で??な作品だったもので消化不良をおこしておりました。
彼の頭の中で作り上げた観念?の世界と言いましょうか、説明のない「愛」を具現化する、何人かのコール・ドが何度も所々出てきたり、物語には必要だと思われる話の筋道や人物描写があまりに無かったりと不満だらけ...。セットも最低限といった感じでした。
「バヤデルカ」は同じくボヤルチコフ氏が演出&改定振付したものですが、しっかりと見応えある作品に仕上がっています。 昨日は急遽取った安い席のチケットなので、かなり上の方から見下ろす感じ。普段では良く見えないコール・ドのフォーメーションがとっても綺麗に見えて、たまにはいいもんですね。 で、そのコール・ドですが、いやぁ本当にコチラのバレエ団は揃っていて美しいですね。上から見るとよくわかります。
主役のペレンは昨年の『アポロ』以来、全幕モノでは久々見ました。ペレンのニキヤは2回目。 スタイルが美しいことと腕が人一倍長くてしなやかな動きをしますので、踊りで表現するという意味では大変恵まれたダンサーだなと感心します。 表情も付いてきましたしどんどん良くなっていますね。ジュテもキレがあったし、身体の滑らかさが美しかったです。 更にもっと役の表現を深め、味のあるダンサーに成長して欲しいですね。
シェスタコワのガムザッティも見るのは2回目。たしか、この役が彼女の出世作だったような気がします。 あまり高慢で気が強いような役作りではなく、お金持ちのお嬢様が困難なくすくすく育ったような感じかな。 髪型が金髪に短い縦ロール付け毛だったのでインドというより、ギリシャ風に見えました。 2幕の婚約式の踊りは、存在感といいテクニックの安定感といい、とても素晴らしかったです。 彼女は難しい踊りを“見せつける”というより、的確で洗練したかたちで見せてくれるので、見ていて気持ちがいいです。
それと影の王国の3人のヴァリエーションがそれぞれ良かったです。 特にミリツェワ! テクニックはもとより、華やかさと踊りの大きさがとても気に入りました。夏の公演でも良かったですし、早く主役で見たい!
それとルジマートフの怪我の状態が心配だったのですが、無事に彼らしい踊りを見せてくれて本当に良かったです。 彼を待っている日本のファンは沢山いらっしゃいますものね。席が遠かったので、次はもっとよく見ることにしましょう。
そういえば、最後のカーテンコール時にやたらフラッシュが焚かれたので、誰?と思ったら、オーケストラの団員でした。 ルジ・ペレン・シェスタコワが前に出てくるとバシバシ撮る。 ルジを狙って撮っていたようなので、団員もファンの方がいたのかしら? 家族に頼まれたのかな?(笑)
レニングラード国立バレエ 『バヤデルカ』1/28公演 (ザハロワ、シェスタコワ、ルジマートフ)
いやぁ〜良いものを見せていただきました。 主役のザハロワ&ルジマートフ、マールイのソリスト&コール・ドの皆さん、それにオーケストラメンバーの全てに至るまで、気合と神経の行き届いた良いものを見せてくれて、感謝でいっぱいです。
ザハロワのニキヤは、表情、指や足先、身体全体の表現、スラリとしたスタイル(背も高い)で高貴さも漂わせ、それはもう神がかり的に美しかったです。 彼女が踊ると、観客まで集中力を持って見ているようで、会場の空気が昨日とはちょっと違う気がしました。 ポーズの一つ一つが綺麗で、ピンと張ってヘンにゆるく崩れない感じ。
よく、ヴィシニョーワと比べられていましたが、ザハロワの場合、ヴィシのようなもっちりとした、パとパの間の粘り気があまりなく、(良い意味で)硬質で、ポーズそれぞれの最高に美しいかたちを繋げて、質の高い踊りを作り上げているように感じます。 足を頭上に掲げた時など後光が射しておりましたわ。(笑) 表現の仕方も好ましくて、文句なく素晴らしかったです。絶賛し過ぎでしょうか?
前日同様、ガムザッティのシェスタコワも良かったし、マグダヴィアのマミンや幻影の場のミリツェワもやはり良かった。 そして功労者、アニハーノフによるオケも、幻影の静かなところ、終幕の爆演など素晴らしかったです。 会場も昨日以上に大盛り上がりで私も楽しみました。
このボヤルチコフ版「バヤデルカ」ですが、昨日はニキヤの恨みで寺院崩壊させたように見え、ニキヤって“怖い”と思ったけれど、どうやら神の怒りで寺院が崩壊したのね。 これ下手すると最後は「ニキヤ」が悪役に見えてしまいそうなヴァージョンだなと、ふと思いました。
レニングラード国立バレエ 『ジゼル』1/30公演 (ザハロワ、ルジマートフ)
ザハロワ&ルジマートフ「ジゼル」を、見にいきました。 「ジゼル」の場合1幕での演技が重要なので、遠めからオペラグラスで見るのは歯痒かったですね。
全体的に見た感想は、1幕は思ったより淡々としていて、“泣ける「ジゼル」”ではなかったです。 ザハロワはやはり踊りが素晴らしいですし演技もしている。 ですが、醸し出す雰囲気が、“可憐なとか、村娘とか、病気がちな”、というような「弱い部分」があまり見えず、しっかりとした女性に見えてしまって、ジゼルの哀れさや相手を狂おしく思う気持ちというのを強く感じられませんでした。
でも2幕は良かったです。軽い、柔らかいという感じではないけれど、とにかく踊りが究極に美しい。 人間のもつ「熱」のない世界を流麗に踊りあげ、テクニックもやっぱり素晴らしくてバランスも完璧。 パ・ド・ドゥに至っては、ため息が出るほど素敵でした。
ルジマートフは、やっぱりルジマートフですね。(笑) 自分の表現する世界を、充分見せてくれました。 まず、歩き方から綺麗。 ザハロワと同調していたかというと難しいですけど、堪能はできました。 以前に比べると、アクがなくなってスッキリしたみたいです。あの濃い感じもよかったんですけどね。
最後、幕切れのところが特に素晴らしくて、ウィリーに踊らされる場面でも、終盤は本当にもう踊れないという感じで、途中から倒れこみそうになっていました。 とても真に迫った演技で、悔やみながら疲れ果ててジゼルの墓に取りすがるように這っていくところなど、見入ってしまいます。 観客をドラマの世界に引きずりこむ力は凄いと思いますよ。
その他、ペザントでは毎回大活躍のシェスタコワが、プロフェッショナルな踊りを見せ、相手のマスロボエフも男性的な肉体を駆使してキレよく踊っていました。とても良かったです。
森番ハンスのペトゥホフは、体が大きくなく、ちょっとあっさりぎみでした。もっと野太く演技してくれた方が良かったかな。
ミルタのステパノワはもう少し、気をつけて丁寧に踊って欲しかった。表情は悪くないと思うけど少し雑な感じを受けました。
2幕のコール・ドは、今回は残念ながら神秘的な世界を作り上げられていませんでした。靴音が大きかったかな。「バヤデルカ」の時は良かったのですが...。
レニングラード国立バレエ 『ジゼル』1/31公演 (ザハロワ、ルジマートフ)
1/31のマールイ『ジゼル』は間近で見ることが出来てとても堪能しました。 うん、「堪能」という言葉が妥当かな。 ザハロワの踊りの素晴らしい質の高さと、ルジマートフの特に2幕最後、夜が明けて別れる場面をここまでやるのか、と言うほど濃ーい演技で魅せてくださって、素敵な時間を過ごすことが出来ました。 やっぱり、1幕では切ない気持ちになりませんでしたが、最後が素晴らしいと感動的な気分になります。“ルジ・マジック”ですね。
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