きまぐれがき
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2004年05月04日(火) フリーダ「バーン・イット・ブルー 」

映画や舞台のなかのある場面で流れてくる音楽に、魂が震えるほどの
感動を味わった経験など誰にだってあることだろう。
連休前にレンタルしてきたDVD「フリーダ」の最後、フリーダ・カーロが
人生を終えーーフリーダが自らの最期を描いた飛び散る火花と燃え盛る
炎につつまれた絵によってーー魂の昇華を見送ったときに、その曲は流れ
てきた。 「バーン・イット・ブルー 」。

何を今さらと、映画ファンの方々からは呆れられそう。
今年のアカデミー作曲賞を受賞しているのだそうだ。
授賞式ではガエル・ガルシア・ベルナルがこの曲の紹介をしたらしいが、
やや!どうしたことか、確かにアカデミー賞のTV中継は見ていたはずな
のに憶えていない。

生涯フリーダを苦しめることになった心と身体に負った深い傷、それに
伴う痛みからは、やがて訪れる死が解放してくれるだろう、そんな心情を
表現したかのような絵は、残酷すぎるほど悲しくて。
でも、寝台で眠るフリーダの顔を見れば、ほほえみを浮かべて穏やかだ。

「死んだら焼いて。 もう寝るのはたくさん。 焼いて。」

そしてあの曲「バーン・イット・ブルー」。
嗚咽が咽喉をつきあげる。
音楽の効果によって、印象深いシーンとなり忘れられない映画となった。

セルバンテスのピアノ曲「さらばキューバ」が少しだけ使われた「苺と
チョコレート」も。
キェシロフスキ監督にすっかり騙されたブーデンマイヤー。
哀調をおびた旋律には永遠に騙されていたいと思った「デカローグ」や
「トリコロール 赤の愛」も。
私の心に計り知れないほどの深い相乗効果をもたらして、たまらなく好き
になった映画だ。


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