きまぐれがき
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義母が外科病棟に入院する日。 パジャマや洗面道具などを入れたバッグを何個も提げて、ツーツー 病院内を元気よく歩いて行く義母の後ろから、病院の建物を見ただ けで滅入ってしまった私は元気なくぼんやりついて行く。
途中、泌尿器科なんていう文字が目に入っただけで、条件反射の ようにトイレに行きたくなったりするのは、相も変らずのことだ。
以前、体調を崩して通っていた○○医大の第○内科の教授は、カ ルテばかりを見て患者の顔をみようとしない人だった。 ある日その教授が突如バチッ!と私の顔をみるや「ちょっと眼が出 てる?」と言ったものだ。 訂正を迫る勢いで「うそ!」と言った私も私だが、この教授とは相性 が悪くて、診察室を出る時の私はいつも怒っていた。
他の医師の日に変えてしまおうかと密かに考えていた頃に、驚きの 出来事が。教授が収賄罪で逮捕されてしまったのだ。 TVのニュースも新聞も写真つきで報じている。 「この人!この人!私に眼が出てる?って言った人!」と家族に教え ながら、私はイヒヒーーと不敵に笑ってみせた。おい!
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