きまぐれがき
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ある日
油壺夫人のパパの肝臓の手術が終わるのを手術室のそばの 待合室で、油壺夫人と私がまだかまだかと気をもみながら待っ ているところへ、スリッパをペタンペタンと音立てながらたびたび やって来て「まだ?終わらない?」「遅いなぁ」と言っては戻って いく入院患者。
その男は有名な○○組のヤ○○さんで、何日か後にパパと同 じ手術をするものだから落ち着かないらしいと、油壺夫人から教 えてもらった。
ヤ○○さんは暇でしょうがないらしくて、子分みたいなのを一日 中怒ったり命令したりしている。 ママがパパのところに来ていることがわかると、それってどうな の?と思いっきりひくようなエンジ色のサテンのガウンを、本人 はおしゃれなつもりで羽織ってフラ〜とパパの病室に進入して来 るのだよ。 そして愛想笑いをしながら家族の一員のようにそこにいる。 パパは面白がってヤ○○さんの話を聴いている。
ヤ○○さんのところに女がお見舞いに来ている時は、病室のドア が閉まっているのですぐにわかっちゃう、と油壺夫人が言うので 「女って、その男の情婦かな」と、うっとりキム・ベイシンガー などを想像してみた。 「うぅん、サンダルつっかけた安い女」にガクッ。
油壺夫人のパパが入院した日、油壺夫人とママが廊下で看護士 さんと話をしているところへ、そのヤ○○さんはどこからか忍び寄 ってきて、「こすげです」とさも懐かしそうに挨拶をしたのだそうだ。
ママは「こすげ。。。??」 。。。。。。 しばらく考えてから「ああ、小菅。拘置所ね」。
ヤ○○さんにしたら、小菅にある東京拘置所に拘置されていた時に、 ママが仕事で拘置所を訪れたことを知ったらしく、間違いなくお友達 感覚♪での挨拶となったらしい。 保護司のママ、拘置所で講演でもしたのか? それにしても姓を名乗らず小菅を名乗るとは、ずいぶん拘置慣れして いるもんだ。ヤ○○のサガか。。。
パパの手術が終わる予定時間をとっくに過ぎても、手術室の出入り 口に動きはみえない。 だんだん心配になってきている私たちのところへ、またペタンペタン とスリッパの音もけたたましくやってきたヤ○○さん。
「(手術)失敗しちゃったんじゃないの」
の一言を残して去っていった。
後日談。 パパの手術は成功した。 ヤ○○さんは、ご自分の手術の前日に病院から逃亡したのでした〜 ふふふ〜臆病者\(^o^)/
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