きまぐれがき
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月を見ると秋の気配を感じる。 白い光が優しくて哀しくてモーツァルトの音楽のよう。
そんな月を今夜も二階の窓から眺めていると、ずっと向こうから こちらを目指して猫が歩いて来るのに気がついた。 光に照らされて、リズムのよい歩調で歩いてくる。 この真夜中、何を思ってどこへ行くのか。。と姿を追っていると うちのガレージの前で直角に向きを変え当たり前のように庭に入 ってきた。
ユキちゃんが眠っているハウスの前を通り抜けたところまで見届け たが、そのあとは視界が遮られて見えなくなった。 ユキのやつ眠りが深すぎて、すぐそばを猫が通っても目など覚める はずがないよなと思っていると、家の裏のほうでガラガラバッタンと いう大音響。
そっと見に行ってみると、2個並べて置いてあるゴミバケツが見事 にひっくり返り、蓋は転がり生ゴミが散乱したいた。
この間から朝起きるとゴミバケツがたびたびこのような状態となって いたのは、あやつの仕業だったのか。 これは、白い光の中をわき目もふらずに歩いていた美しい姿のあや つの稼業なのだ。
はじめて見た猫だった。 でも猫は、私のことを知っているのかもしれない。 どこかから見られているのかも知れない。
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