日々の泡

2001年09月12日(水) それは映画ではなく。

タイタニックの余韻で
(グランドホテルでパニックものって、アメリカ好みだよね…豪華キャストだったりしてさ。
古いけどやっぱり「タワーリング・インフェルノ」あたりが代表格かな?)
なんて考えてたら、ニューヨークが…。
たぶん最初は、現地で目の当たりに見てた人も
「大掛かりなイリュージョン見せられてるんじゃ」って感じで信じられなかったと思う。

「ぶつかった場所の人はたぶん助からないだろうが、生き残った人たちは今、
パニック映画そのままの酷い思いをしながら逃げてるところなんだ…頑張れ…
巨大ビルの避難経路ってどうなってるの? まさか歌舞伎町の雑居ビル並みじゃないよね」
などと思って見てたら
(考えてみたらどんな立派なビルでも、非常階段以外の経路があるわけないのよね)
あっさりと倒壊しやがりました…茫然。
パニック映画どころか、アニメ(それもギャグ)の破壊シーンみたいに
玩具みたいに壊れました。
たしかに、たしかに
「タイタニックが沈むわけがない!」「鉄の塊が沈まないわけないでしょう!!」
なんだけどさ。
でもあんな、ビル解体業のエキスパートが発破仕掛けたみたいに
くしゃくしゃと潰れちゃうものだったんですか。
(この点は、建築の専門家もシミューレーションしきれてないらしかった…)
なんか、パルプ製の蜂の巣みたいなヤワなとこで仕事してたんだなぁ。
いや、蜂だったら飛べるからまだいいんだけど。人間は飛べないんだから。

ニュース番組では、正確な数字が出ないと報道できないから
リアルタイムでは死傷者が2桁だの3桁だのとしか言ってなくて(充分ひどいが)
でも人的被害がそんなケタ数じゃすまないのは誰の目にも明らかで
うつろな気持ちで画面を見ていたのは、阪神大震災のときと似ていた。
はやく混乱が治まってほしいけど、
それと入れ替わりに悲しいことばかり降り積もってくるんだよね。

もひとつ似てたのは、「もうこれ戦争だ…」と思ったことです。
震災のときは「空襲に遭ったみたい」と思っただけだけど。
(実際の空襲体験者に言わせると、あんなもんじゃないそうだが…充分です)
今度のは、
アメリカ側はまだ戦争だと思ってなかったけど、
あれをやらかした人たちの中では、とっくに戦争に突入してたんだね。
ハリウッドでは特撮いっぱいのパニック映画や戦争映画を作っていても、
現実の戦争はやっぱり「外で」やるものだとアメリカは思ってたのかな。
テロ対策はどうなってたのか知らないけれど、何かあるとしても
外堀(日本とか)から攻められると警戒してたみたいだし、
まさかいきなり本丸をやられると思ってなかったろうな…
本土爆撃受けたことないんだから、きっと国民的にもすごいショックだと思う。

そしてこれからクローズアップされてくるのは、
失われた一人一人の人生とかじゃなくって、
ずたずたに傷つけられたアメリカのプライドになるような気がする。
死者の数も「うちはこれだけの損害を受けた」という主張に変えられていく、
人の死が道具のように扱われていく、そういう点でも
平時ではなく「戦争」だという印象を受けた。


これは対岸の火事じゃないのね? 多分。
日本で同じようなテロがあるかどうかはさておき、日本が
アメリカの今後の報復行動、もっと深いところで言えば
アメリカの負う「心の傷」に影響を受けることは避けられないと思うので。

‐‐
ニュースねたは書かないことにしてるんだけど、
時事ネタというより、自分の中に前からたまってたものが
出てきたような気がして、つい…。


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蟻塔

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