罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
贄は奉げられる。 想いを厭う事も無く。
歯車は回り続ける。 狂う事の赦されぬ発条に従いては流れを止める事能わず。
望を叶う為に以って贄を用い 物事を呪いては己が道を為す 彼の贄は其を識る事も能わず 彼の者は徒奉げ逝くのみ
此の地に満ちる想い達 揺るがし 溶かし 燃やし 押し流さんとする
耳を傾ぶく者の少なきに 其の重いに耐え得る事も又能わず 徒打たれ潰れ逝くのみ
其の想いに耳を傾ぶき 慰め事適う事も又久しからずや あと幾人の贄此処に在りしや
失う想いの耐え難きなれば 我の未だ此処に在る由なるか 然れども贄は奉げられ 我は失い続ける
我は久しかる事の莫れども 彼等のいく久しくを望みたれば 我は未だ此処に在る
咎人の課せられたる刑なれば 我は狂う事も又能わず 機戒が如く罪を犯し続け 想いは叫び続ける
叫びを届かせぬ為に面を纏い 而して何人たりとも想いを知らず 矛盾を孕みてこの歯車を舞わす 完全を赦される事の無き詩を詠う
彼等の為にと詠いては 我が為に舞わす 贄が又逝く 我も又逝く 望む者の在る限り
舞われ舞われ 流れ逝く想い共よ 逝く先を識りながら 其を見詰ざる事莫れ 想いを聴かざる事莫れ 真を口にせざる事莫れ 見ざる聴かざる謂わざるならば 舞われ舞われ 発条に導かれ 歯車が一つなれば
若し想い在る歯車なれば やはり舞われ舞われ 流れ逝こうとも 逝く先を識ろうとも せめて其の軌跡を残せ
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