Land of Riches


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 2025年02月23日(日)   干渉深度 

2日連続の映画館、この日はMOVIX亀有までファースト・キスを見に行ってきました。
(見る前に以前行った担々麺屋に寄ったら休みで、代わりに入った居酒屋の煮物ランチ美味しかった)
松たか子さんと松村北斗さんの感動ラブストーリーで、映画にしては珍しく2週目以降に
動員数が増えている…それだけ内容が評価されている作品と言えます。端的に言うとボロ泣きしました。

私がこれを見に行ったのは、和田雅成さんがチョイ役で出演されているから。映画冒頭で、
松さん演じる主人公が夫を亡くしても続けている2.5次元舞台の美術部として働くシーンがあります。
和田さんはこの舞台の主役で、主人公がアクシデント対応として舞台の上から武器を投げ落とすのを
受け取ったり、終演後に車で一緒に帰って(主人公は離婚したと周囲に言っている)話したり。
チョイ役にしてはなかなか美味しい登場だったと感じました。松さんと1対1芝居ですからね。

主人公が美術部なのはデザイナーとして大成できなかったからで、帰宅後、3年待ちだった
通販の餃子を焦がしてしまい、失意の中でセットが壊れたと連絡を受け、餃子を焼く前に戻りたいと
ぼやきながら首都高を飛ばします。三宅坂ジャンクションで崩落に巻き込まれた主人公が
どうにか脱出した先は15年前に亡き夫と初めて会った場所だった…つまり2日連続のタイムトリップものです。

主人公は交際僅かで結婚し、嫌なところばかり見えるようになった結婚生活は破綻、部屋も別、
朝食も別になりました。そんな夫は駅で転落したベビーカーの子供を助けようとして事故死。
あんまりな結末を変えようと、主人公は若い自分と出会う直前の夫にさまざまな刷り込みを試みます。
その刷り込みによって歴史は微妙に変化していきますが、どうしても事故死の結末を変えられません。

細い糸を通していくのを諦めた主人公はついに自分ではなく教授の娘との交際を勧めます。
(夫は化石研究者としては生きていけず、不動産屋に通勤するようになったため事故死した)
15年後の若くない未来の妻にどうしても惹かれる夫は勧めを拒否。彼女が未来から持ってきて
落としてしまった自分の命日が書かれた付箋から、とうとう未来の妻よりタイムトリップを繰り返し
歴史改変を試みたかの真相…事故死する未来と冷却しきった夫婦仲を聞かされます。
死んでしまうと分かっていても転落した子供は助けるとブレない彼は、Xデーまでの時間、
つまり冷え切った夫婦仲を変えると誓うのでした。最後のタイムトリップから主人公が戻ると、
その日までに積み上げられた夫婦の想い出は塗り替わり…朝食もメニューは別でも向かい合って
食べるようになっていたり、くだんの餃子も自分の死後に届くよう夫が手配したものになっていました。

長く連れあった男女に刺さると評判でしたが、主人公夫婦の置かれた立場、命日の確定を除けば
誰もが同じ境遇にあります。変えられるのはこれから積み上げる時間だけ。逆に言えば、
これから一緒に過ごす時間をより良いものに変えていくことはできる…というメッセージなのです。
刺さる人もいるでしょうし、この映画を見るのにビールやチューハイの500ml缶を持ち込む
若くない男性(もちろんマナー違反)がいるのも分からなくもないのでした。

それにしても、最近のフィクションで時間遡行が絡まないコンテンツの方が探すの大変で。
まさかサンファンもファースト・キスもタイムトリップものだったとは…。
どれだけ過ぎ去った時間に悔いを抱いている人が多いのか、察せられるというものです。

2025.3.2 wrote


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