Love Letters
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2007年08月22日(水) 微風


 お盆休みの間、

 あなたに3日間会いました。

 あなたはあまり私には会いたくなかったでしょう。

 でもほんの少しだけ会いたい素振りが見えたから、

 あなたに会いに行きました。




 ホテルの予約は私がしました。

 夜は友達との予定を入れておきました。

 知らない街での一人ぼっちの夜は寂しいから。

 二日目の夜の友達との予定は

 あいにくキャンセルになってしまったけれど。




 二日目はあなたが丸一日時間を空けてくれたので、

 外のうだるような暑さを避けて

 お部屋でのんびり過ごしました。

 テレビを見ながらお喋りをして…

 あなたは一切の欲望を見せませんでした。




 「もう、電話もメールも一切しないでくれ。」


 あなたが冷酷な言葉を吐いたあの日から

 数週間が経過していました。

 お別れの日、

 私はあなたの頬を打ったのでした。

 私にとっては愛おしい5年間の歳月が

 あなたにとっては単なる遊びに過ぎなかったと思ったから。

 私があなたに手を上げたことで

 あなたは私に憎しみを持ちました。

 行為そのものよりも

 感情が高ぶった時にそのような行為に至る女が怖いと

 あなたは冷たく言いました。




 あの時のお互いの憎しみをオブラートに包んで、

 私達は普通に話をしました。

 あなたは椅子に腰掛けて、

 私はベッドの上にしゃがんで…

 あの時の話には一切触れずに

 他愛の無いお喋りを続けました。




 お酒を飲みながらのお喋りのせいで、

 柔らかい空気が流れ始めました。


 「ねぇ、友達のキスをして。」


 私は今にも蕩け出しそうな欲望を隠してお願いしました。




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 「もう少し、ちょうだい。」

 
 あなたは遠慮がちに、幾つかのキスをくれました。


 「好き?」


 「それは聞かないほうがいいんじゃない。」


 「もっとキスして。」


 「単なる遊び相手でもいいってこと?」


 悲しみで胸が押し潰されそうでした。


 私達はそのままキスを止めて、

 またお喋りを始めました。

 私は、面倒な女になりたくなかったので、

 泣き出しそうな気持ちを抑えていました。




 夜、あなたとお蕎麦の美味しい居酒屋さんへ行きました。

 温もりのある木のカウンターに

 あなたと並んで座りました。

 まるで出会った頃のように、

 あなたは沢山話をしてくれました。

 あなたは携帯の中にある

 お店のリストを見せてくれました。

 私と行ったお店の名前もあれば、

 まだ一度も行ったことのないお店の名前もありました。


 「私、ここに入ってるお店全部、

  あなたと一緒に行きたいな。

  別れるのはそれからでもいい?^^」


 拒絶されるのが怖くて少し冗談めかして聞きました。

 そっと見たあなたの横顔は

 久しぶりの穏やかな笑顔でした。




 三日間あなたに抱かれずに過ごしました。

 抱かれない方があなたの心の動きがわかると

 今回初めて気付きました。

 私に対するあなたの気持ちは

 「まだ微妙。」であり、

 「修復には時間が必要。」なのだそうです。




 抱いてくれなくても

 私はあなたが好きだということもわかりました。

 家に帰ってからあなたとメールをしました。


 「私が素っ裸でお部屋を歩いていても

  あなたはもう何とも思わないわね。(笑)」


 「我慢しました。(笑)」


 「ほんとは欲しかったの?」


 「一度別れると言ったから

  我慢しました。(笑)」


 「じゃあ、私はまだ女として大丈夫?^^」


 「まだまだ大丈夫でしょう。^^

  あの葡萄は無敵です。(笑)」




 今年の夏はとても暑い。

 息も苦しくなるような暑さです。

 お互いに自分が傷つくことを恐れて、

 心に強固な壁を立てて再会した二人だけれど、

 ほんの一瞬だけ

 二人の間に風が吹いたのを

 あなたは感じたでしょうか。



0574 W.S.R

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小夜子

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