”BLACK BEAUTY”な日々
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Boogie
高校生の時、当時はまだパルコのテナントになっておらず、パルコの真正面に店をかまえていた津田沼の島村楽器で、「スクワイヤー」というフェンダーの子会社のギターを買った。黒のストラトキャスターだった。 クラスの友人達もこぞってギター、ベースさらに家が金持ちの奴はドラムセットを購入し、学校内でポコポコとバンドが生まれていった。
当時のバンドマンの勢力分布は下記のような感じだった。おそらく、どの高校でも同じ状況だったと思う。
【メタル軍団】 当時大ブームだったLAメタルをこよなく愛する。ガンズ、ラット、モトリー、ドッケン等々。さらに突っ込んだ奴はアイアンメイデン等のヨーロッパ勢にも手を伸ばす。「プレイヤー」「ヤングギター」を愛読する。
【ジャパメタ軍団】 44マグナム、リアクション、アンセム、デッドエンド等の日本のHR/HMを愛する。 メタル軍団とは対立関係にはないが「ロッキンf」を愛読する。
【ビートバンド軍団】 簡単に言うとボーイのコピー軍団。当時の最大派閥。布袋モデルのテレキャスを持っている事がステイタス。ボーイのバンドスコアを愛読。
【盗んだバイクで走り出す軍団】 尾崎、浜省、長渕を愛する。基本的に教師は全て敵であると考えている。その為、教師を「先生」ではなく「さん」と呼称する。アコギの弾き語りを追求。3フィンガーというテクニックをマスターすると仲間から尊敬を集める。意外な事に女子にモテる。
【ロックンロール軍団】 スライダーズ、レッドウォリアーズ、RCサクセションを好む。 楽曲は基本的にかったるく、早弾きなどの高等テクは全く登場しない。 今や死語となりつつある「おいら」という一人称を多用。 メタル軍団からは「早弾きがねえ」とバカにされ、ビートバンド軍団からは「曲のテンポがかったるすぎる」と批判される。 だが、ここからストーンズに移行する者も多く、本人達は「本物のロックを聞いている」という自覚を強く持つ。
【ストリート系ロックンロール軍団】 ロックンロール軍団が「俺とお前」のロックンロールを基本とするのに対し、こちらは「俺達と奴等(体制側)」のロックンロールを基本とする。 「それじゃ、盗んだバイク軍団と変わりないじゃないの」と思われがちだが、あくまでバンドサウンドを基盤とする点で異なる。 モッズ、ストリートビーツが代表格。
【ハードコア軍団】 前に日記で触れたような、SOB、ガーゼ、リップクリーム、ディスチャージを好む。見かけによらず中身は常識人であるわけがなく、新宿アンティノックを聖地と崇める。「DOLL」を愛読。津田沼付近でヤンキーによる「パンク狩り」をされ、ボコボコにされる事もしばしば。
【ビートパンク軍団】 ブルーハーツのコピーしかやらない。学祭では人気を集める。 演奏が比較的簡単なので、わりかしすぐ演奏できる。 当時の第2派閥。
【宝島軍団】 当時のサブカルチャー誌「宝島」を愛読する。「ぴあ」には載っていないイベント等に顔を出す事で優越感を得る。あまりバンドを組む等の行動には出ない。女子の構成比率が高く、ヒステリックグラマーの専属モデルだった中川比佐子をカリスマとする。
【なんとなくバンドブームに乗っちゃた軍団】 楽器は演奏しない。女子が中心。とりあえずあらゆるジャンルを横断し、音楽よりビジュアルを重視する「パチパチ」を愛読。
とまあ、主だった軍団を挙げてみたが、俺は高校1年時にはハードコア軍団に属し、ようやくギターがまともに弾けるようになりかけた1年の終わり頃からロックンロール軍団に加入した。
しかし、このロックンロール軍団は極めて排他的な特性があり、他のロックを完全否定してしまう傾向があった。
これには困った。だって俺はボーイもブルハも尾崎もモトリーも大好きだったからだ。
そんな高校生活を経て、昨年モトリーの来日公演を見た。ヴィンスニールは明らかに太っていた。そしてサビのほとんどを客に歌わせていた。
先日、ボーイの武道館ライブのDVDを買った。やっぱり氷室は今見てもため息がでる位かっこよかった。
10代の頃、なぜあんなにロックの派閥が生じたのか、今をもって謎である。
どんなジャンルでもロックである事には変わりはないのにね。
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