”BLACK BEAUTY”な日々
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Boogie
オアシスのライブDVDを観る。ツアーファイナルのロンドン公演を収録した作品だ。
今となってオアシスはイギリスを代表するバンドであり、フジロック、サマソニにも出演するなど、世界的なバンドに成長した。
彼等が初来日を果たしたのが1995年。俺はクワトロでの来日公演を観に行った。
当時は、同年にカートコバーンが自殺した結果、グランジブームが一応の終演を迎え、時代を象徴するロックアイコン不在の状況が続いていた。
その翌年、オアシス対ブラーの大戦争が繰り広げられ、ブリットポップなる大ブームが訪れる。だから俺が観たオアシスはブリットポップ前夜の「ただのマンチェスター出身のロックバンド」でしかなかった。
確かクワトロも超満員という感じではなかったと思う。淡々と演奏を終え、アンコールもなくクワトロを後にした記憶がある。
強烈に覚えているのが、こいつらの喋る英語だった。 何しろ、マンチェスターの、しかも労働者階級のイントネーションだ。これにはすさまじいものがあった。
名詞の前にはいちいち「ファッキン」をつける。弟のリアムが「ファッキン シバウヤ」を連発するのだが「シバウヤ」が「渋谷」である事を理解するまで結構時間がかかった。NYのヤッピーやロンドンの中産階級は「シブーヤ」と発音するのが普通だから、何とか理解する事ができる。
だが、こいつらの英語は本当に理解不能だった。だからロック雑誌などでオアシスの取材をする際、通訳の人は本当に大変らしい。その為「マンチェなら私にまかせて!」といった極めてマニアックなスキルを身につけてしまった通訳者もいるらしい。
そして彼等のインタビューを雑誌に掲載する際、本来であればこういう日本語訳が最もふさわしいこととなる。
『こんだあ、オラ達、日本さ行くんだべ。フジロックとかなんとかいう祭りにでんだ。はやく日本さ行ってみんなに会えるんが、そら楽しみで仕方なかっぺさ』
しかし、ロックバンドのインタビューにこんな方言丸出しのコメントはとてもじゃないが掲載できない。そこで、
『今度、フジロック出演であんた達の国へ行くんだ。日本のファンのみんなに会えるのが今から楽しみで仕方ないぜ』
と、変換して掲載される。
では世界的バンドに成長した現在のオアシスは所謂、標準的な英語(BBCアクセントと呼ばれる)を喋っているのだろうか?
結果は相変わらず方言丸出しだった。ステージ登場後、ここはロンドンなのに「ハロー、マンチェスター」とか言っている。 ライブ中のMCもさっぱり分からない。
だがこれはマンチェスター出身者の意地なのだろうと思う。 どんなに売れようが、有名になろうが、自分のルーツに正直であるが為、あえて方言丸出しの英語を喋るのだろう。
こういう思いは、俺は結構好きである。
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