無責任賛歌
日記の表紙へ|昨日の日記|明日の日記
2005年08月28日(日) |
みんな仕事が面倒くさいんだね/『トンデモUFO入門』(山本弘+皆神龍太郎+志水一夫) |
休日だが出張。 詳しいことは書けないが、出張先の連中の杜撰かつ失礼な対応にちょっとハラを立てる。なんつーかねー、うちの業界、ともかく何か失敗してもちゃんと謝らないやつ、多いんだわ。「謝ったら負け」って感覚が染みついてるんだろうけれども、明らかに自分に非がある場合でも、「すみません」とは決して言わない。四十も五十も過ぎたいい大人のくせして、必ず何やら言い訳して、笑って誤魔化そうとしたり、自分以外の誰かに責任転嫁しようとするのである。顔は老けてても精神年齢は十五、六ってやつがゴロゴロしているのだ。これでよく○○○○でございって顔してられるな、とむかっ腹が立って仕方がないのだが、ここで喧嘩をするわけにもいかないから、ぐっと我慢をしているのである。 人と関われば関わるだけストレスが溜まるんじゃまた胃に穴が空いてしまう。職場ではできるだけ無口でいたいもんだよ。
マンションの改修工事が先日から始まっている。 「ベランダにある邪魔なものを捨ててください」とお達しがあったので、ぶっ壊れたベッドとかテーブルとかハンガー掛けとか、普通に粗大ゴミで出したらオカネが取られるものを、ここを先途と出しまくった。しかしベランダにはまだ大モノが残っていて、これまで録画してきたビデオをぶちこんだロッカーが二つ、ドデンと居座っているのである。 こいつは捨てるわけには行かないが、カと言って工事が終わるまでいったん部屋の中に入れておくというわけにはいかない。部屋の中はもう、足の踏み場を確保するのが精一杯という状況になっているのだ。入れられるものなら最初からベランダに置いといたりはしないのである。 業者から電話連絡があったので、「一時的に横にどけて、工事を行うわけにはいきませんか」と頼む。 「部屋の中には入れられないんですか」 「ちょっと無理です。部屋の中、満杯なんですよ」 「ですが、そうしていただかないと工事ができないんですが」 「できればそうしてます。できないからお願いしてるんですが」 「どこかに倉庫を借りてそこに持って行くというわけには」 「持って行くには部屋を通さないといけないじゃないですか。その部屋を通せないんですよ」 「そこをなんとか」 「何ともなりません。第一、倉庫を借りるお金がありません」 「困りましたねえ」 「ホント、困るんですよ」 「まあ、何とか考えてみます」 何とか善処してほしいと政治家みたいなことを言って、電話を置いたのだが、本当に何とかしてくれるんかいな。
『仮面ライダー響鬼』二十九之巻 「輝く少年」。 下條さん復活。三週連続の欠勤はやっぱり夏休みだったのだろうな。プールサイドの下條さんも見てみたかった気がするが。 前回に引き続いての、ヒビキと明日夢君とのキャンプ編後半。 明日夢君が崖から滑り落ちて軽い怪我、そのあと雨にも降られて、テントにもぐりこみ、ヒビキから「濡れただろ」とタオルを渡されてはにかむ。「ぼくのせいでこんなことに」「失うものもあれば得るものもあるさ」。……そして夜の帳が二人を包んで……。 なんですかね、このムーディーなやりとりは(笑)。全く、ヤオイ腐女子がとても嬉しくなるようなシチュエーションであるが、狙ってきたのかなあ。タイトルがまたいかにもソレらしいしね。平成仮面ライダーシリーズは本来の特撮ファン以外にもいろんなところにファンを開拓して来ているけれども、ショタまで取り込んでくるとは思ってなかったね。いや、最初のころは明日夢君がショタの対象になるとは全然思ってなかったんだけれども(一応、高校生だし)、このところのいじらしさ可愛らしさは、ちょっとキケンではないかという気がするのだ。 考えてみれば、「師匠と弟子」って関係、弟子は何らかの「通過儀礼」を必ず受けることになるんだよね。当然そこでも何かおいしいシチュエーションが生まれる可能性はあるわけで……。別に私はそんなもの期待してはいないのだが、その昔、ヨーダ×ルークだったかルーク×ヨーダってパロディマンガもどこかで見たことあるし(高信太郎だったような)、ヒビキと明日夢君の濃密な夜を想像して眠れない思いをする腐女子さんたちも増えるのかもしれない。 まあ、自分でそういうパロディマンガを描いてみてもいいのだけれど、私のコドモマンガっぽい絵柄だと、別の意味でいやらしくなっちゃうからなあ。つか、描きながらサブイボ出ちゃうわい。誰か描かんか。
山本弘+皆神龍太郎+志水一夫(と学会)『トンデモUFO入門』(洋泉社)。 もう何年か前のことになるが、私が山本弘さんのことを嫌っているとデマを飛ばした人がいて、ちょいと迷惑を蒙ったことがある。その人がどうしてそう思い込んだのか、理由はよく分からないのだが、どうやら私と別の人を間違えたらしかった。 山本さんのことが嫌いだったら、こんなに本が出るたびに追いかけて買ったりはしないのだけれども、いくら説明を繰り返しても、いったん思い込んだら一切自説を曲げようとしない人だったので、こりゃもうしようがないな、とこちらから縁を切ることにした。そしたらその人、今度は「自分の方から縁を切ってやった」と正反対のことを吹聴して回るようになったのである。 全く、ウソをつくことに何の罪悪感も持たない人間というものはいるものだなあと思ったものだが、それ以上に関わりあいになりたいとは思わなかったので、その件はそのまま放置した。 私が嫌なのは、その人もそうなのだが、内心では山本さんのことを馬鹿にしているくせに、いかにも私は信奉者でござい、ってなフリをして、おべんちゃらを使いまくっている腰巾着や茶坊主のほうである。山本さんもそういう連中が鬱陶しくはないかと思うけれど、付き合い長いと簡単に縁は切れないんだろうね。
それはそれとして、肝心の本の内容について。 20年ほど前までは、青少年の未知への憧れを掻き立てていたものの、今や世間の誰も振り向こうとしない「UFO」について、ひとたびこの人たちに語らせたら他の追随を許さないというお三方が結集し、大いに放談しまくったのが本書である。 本来は京極夏彦ほかの『妖怪馬鹿』に倣って『UFO馬鹿』とタイトルを付けたかったそうだが、あまりに真似するのもなんだと無難な題に落ち着いたそうである。私はどっちかというと、往年の『オモロ大放談』を連想した。 しかし、本書でも語られていることだが、もはや今時の若い人たちは、UFOについての初歩的な知識も知らないのである。まあ、我々の世代でも、「UFO=空飛ぶ円盤」と思い込んでるやつは結構多かったからな。 三人のお喋りをそのまま採録しているために、軽く読み飛ばされてしまいかねないのだが、これには「UFOをいかに楽しむか」というスタンスが明確に示されている。 ともかく盲目的に「UFO=宇宙人の乗り物」と断定しないこと、捏造されたデータに踊らされないこと、人はなぜ簡単に偽情報に騙されてしまうのか、その心理的背景にまで思いを致すこと、検証の末になおやはり正体の分からないものがある場合にはそれはやはり研究の対象として価値あるものだと認めること、トンデモな目撃証言などもただ馬鹿にするのではなくてフォークロアの一つとして楽しむこと――などである。 要するに研究心と遊び心を両立させて、妄信だけはしないようにってことだね。だから、ケネス・アーノルド事件にしろマンテル事件にしろベティ・ヒル事件にしろロズウェル事件にしろ、検証の末にある程度真実が見えるようになった事件について、「なーんだ、ロマンがなくなっちゃった」なんて思わないことである。 「人間は間違うものだ」あるいは「人間は幻を見たがるものだ」という「人間認識と深い愛」があれば、UFOも幽霊も超能力もいかがわしい詐欺と決め付けずに微笑ましく見ることができる。 私も子供のころ、近所の神社にノストラダムスの大予言かなんかにかぶれた連中がやって来て布教を始めたので、面白半分に(母親が「面白そうだから行って来んね」と勧めたのである)出かけたところ、いろいろ呪文を唱えられて催眠術にかけられたようになって、オジギさせられてしまった。だからと言って、カミサマがいるとか超能力があるとか信じるようにはならないのである。何かそのときも「行いを正しくしていればUFOさんが世紀末に救いに来てくれる」とか言ってたな。あの人たちは今はどこでどうしているのやら。 映画『宇宙戦争』を見れば分かる通り、今、宇宙からの侵略をリアルに描こうとすれば、「宇宙から飛来する円盤」すら登場させられなくなってしまうのである。しかし、UFOがその時代におけるフォークロアとして生まれてきていることを考えれば、そういう方向での「リアル」を追求することは見当違いであるということが容易に理解できるであろう。UFOが今後も「生き残っていく」のであれば、それはやはり「現代の寓話」として機能していくはずなのである。 悲観的な味方をすれば、もはや現代は「UFOを必要としていない」のかもしれない。本書はタイトルに「入門」と謳っているが、実は「総括」としての意味を持つのかもしれない。しかし、だとすればそれはそれとして社会の自然な変遷であると言えるだろう。妖怪や妖精が廃れたように、UFOもまた廃れたのである。まだしも「幽霊」の方が我々に必要なフォークロアとして生き残っているくらいのものだ。 しかし、UFOそのものは廃れても、我々は常に「謎」を抱えて生きている。正体不明な「UFO的なもの」はこれからも形を変えて現れてくることは間違いない。そのときにはまた、トンデモなファンタジーを生み出す人々が騒動を起こすことであろうが、そういうときには笑って楽しむ余裕を持ちたいものだと思う。
2004年08月28日(土) 夏の終わりの小さな花火 2003年08月28日(木) 謎の暗号?(^_^;)/DVD『アパートの鍵貸します』/映画『英雄 HERO』 2001年08月28日(火) クリエイターの条件/映画『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』ほか 2000年08月28日(月) 完治には1週間以上かかりそうです/ドラマ『百年の物語』ほか
日記の表紙へ|昨日の日記|明日の日記
☆劇団メンバー日記リンク☆
藤原敬之(ふじわら・けいし)
|