無責任賛歌
日記の表紙へ|昨日の日記|明日の日記
2005年10月26日(水) |
別に皇室ビイキじゃないんだけどさ/ドラマ『相棒』第3話「黒衣の花嫁」 |
昨25日、小泉首相の私的諮問機関である「皇室典範に関する有識者会議」で、皇位継承の資格者を女性皇族に拡大することで意見が一致した。これに基づいて来年の通常国会で皇室典範が改正されることはまず確実で、もう長いこと紛糾していた皇位継承問題も、女性天皇、女系天皇が容認されることで解決する見込みである。 まあこれもねえ、政治がらみの話になっちゃうからあまり突っ込んだこと言うと既知外連中が噛みついてくるんで、できるだけ「易しく」書いとこうと思うんだけど、この件について「充分な議論がなされてきてない」と主張する連中の言は殆どデタラメなんで(だいたい、どんなに議論されて結論がとっくに出ていても、こう言って話を蒸し返す負け惜しみの強い馬鹿は必ずいるものだ)、うっかりマトモに聞いたりしてたら振り回されることになるよ。女性天皇の問題はそれこそ昭和天皇の若いころから、識者の間で何十年も議論され続けてきてる「天皇家存続」に関わる大問題だったのだが、そんなことも最近の若い連中は知らずに偉そうにモノを言うのだから困ったもんなんである。 だってなあ、もう議論自体はとうの昔に終わっていて、いつかは女性天皇も容認するしかないのは運命であって、けれどもこれまでは「奇跡的に男性、男系相続が続いていた」から、あえて皇室典範をいじくらずにすんでいただけなのだ、ということは馬鹿以外はみんな熟知してることなんだよね。けれど、なぜか未だに難癖付けてくるやつが後を絶たないんだよなあ。 皇位継承順において、長子相続を優先するか男系相続を優先するかでまだ意見が分かれてるんだけど、これが未だに「ダンケイ、ダンケイ」と鬱陶しいくらいにうるさい連中のことも一応考慮してやらなきゃならないと、仕方なく議題に乗せているだけにすぎないことに、「男系相続派」の馬鹿どもは気が付いていないのである。 男系相続だと、いったん即位した女性天皇があとで生まれた弟に譲位を迫られるような事態にもなりかねない。しかもその時点で結婚していたら、夫ともどもいきなり皇族から排除される可能性もある。昨日、天皇で、翌日は平民って、「男系相続」に拘るとそういうことも起こりうるんだよ? そうなったら大問題になることは「目に見えている」から、馬鹿以外は誰も男系相続を主張してないわけだ。長子相続が一番妥当で混乱はないってことは火を見るよりも明らかなのに、その理屈がどうして「男系相続派」の連中には分からんのかね? 私には未だに男性天皇、男系天皇にこだわる人々の意図がよく分からないのだが、現在の天皇家に、「女性以外に跡を継げる人間がいなくなっている」事実をどう考えているのか、聞いてみたいよね。でも多分、「何も考えてない」か「天皇家が途絶えた方が面白いと考えている」かのどっちかだろうから、何も答えられないんじゃないかな。 実際、私が会話したことのある「男系相続派」の人で、ある人は、もう頭がすっからかんになっていて、考える力を完全になくしておられました。「いーや、雅子さまはきっと男の子をお生みになる!」とご主張なされるのですが、もちろん、その目はあさっての方角を向いておられたのでございます(笑)。あるいは、例のホモオタさんですが、「私には未来が見えます。天皇家は次の代で途絶えます」と嬉々として予言しておられました。でもって「自分は天皇家の血筋である」とも主張されてましたから、あわよくば自分が天皇になれるから、「今の」天皇家の血統が絶えればいい、と、内心、期待していたようなんですね。熊沢天皇か、あんたは。「男系相続派」の人たちは例外なくこんなんばっかです。 言うまでもなく、男系天皇が何とかここまで存続し得たのは、天皇家においてのみ「一夫多妻制」が許されてきていたからである。誰もが知っている通り、大正天皇の生母は明治天皇の皇后である昭憲皇太后ではなく、柳原愛子妃であった。昭和天皇もまた香淳皇后との間になかなか皇太子が生まれなかった時期に、側室を持つことを勧められたという経験を持っている(香淳皇后を愛していた昭和天皇はこれをきっぱりと断った)。 男性天皇、男系天皇に拘るならば、この「側室制」も復活させなければならなくなるのだが、天皇が日本人の「象徴」としての意味を持つ以上は、そのような「特別扱い」は許されるはずもない。本当は「国民に隠れて子供作らせちゃえば」とか「男系相続派」の人たちは思ってんだろうけれど、天皇の人格よりも伝統(それも自分たちの妄想の産物でしかない)の方が大事と考えてる既知外どもには、いくら「あんたら狂ってるよ」と言っても通じないんだろうなあ。 男系にこだわる人は「養子論」まで持ち出してきているが、つまり「血が途絶えても男系相続が望ましい」と言っているわけである。「男系相続にこだわる」ってそういう意味なんだよ? だったら「誰が天皇になったって構わない」と言ってるのと同じじゃないか。ホモオタさんにも可能性があるというのは困ったことに「男系相続」に拘る場合、何万分の一かの可能性としてはあったりするのだ。ああ、恐ろしい。 実際、そこに拘って、天皇家はこれまでに何度も「断絶」しているのである。最も有名なのは26代継体天皇で、いったん途絶えた皇統を、「15代応神天皇の五世の孫」という触れ込みで、どこぞから連れて来ているのだが、そんなのは何の根拠もないのである。およそ150年前の天皇の子孫って、そんなの、戸籍もない時代にどうやって調べたよ(笑)。 そのように、天皇家が「万世一系」なんてのが大ウソだってのは、マトモな歴史学者なら先刻ご承知だから、逆に言えば、この言葉を使っているだけで、そいつが歴史の捏造に気付いてないか、あるいは捏造と知っててあえて加担してる詐欺師かのどっちかだってのはすぐに分かる仕組みになっているのである。でも、若い人たちの中にはそんな基礎知識もない馬鹿が多くなってるから、すぐに騙されてしまうのである。 雅子さまに男子誕生を望めない可能性が高まっている現在、女性天皇、女系天皇を容認せざるを得ないのは、血統の存続の観点から言って不可避な選択である。「血なんて途絶えたっていいじゃん」という自由が許されない家に嫁いだ上は、「男の子」を要求されることは仕方がないことではあったろうが、かと言って誰ぞの思惑通りに男の子が生まれるはずもない。こればっかりは誰にもどうにもならない運命である。雅子さまにこれ以上、実体のない「伝統」とやらのプレッシャーを与えることが国民としてのあるべき姿かどうか、「男系相続派」の馬鹿どもは、ちったあ考えてもらいたいものだよ。あんたらに「人の心」ってものはあるのかい? 一つ、注を付け加えておかねばならないことだが、「男系相続派」がイデオロギーに凝り固まっているのと同様に、逆に「女性天皇派」にもイデオロギーの観点からそれを主張する連中が巷に溢れている。つまり、戦後民主主義に毒されて、「男女平等」の観点から女性天皇を、と声高に叫ぶやからがやたらいるのだ。阿呆だなあと思うのは、「平等」の観点で言うなら、「長子相続」だって、平等じゃないってことになることに気が付いてない点である。継承資格のある女性全員にジャンケンでもさせなきゃ「平等」にはならんと思うが。結局、「平等思想」に基づいたそれも、「天皇」の概念をサヨク的思想に引き寄せた我田引水、牽強付会の説でしかないということになる。 私はそういう観点で「女性天皇」を推奨しているわけではない。これはそんなイデオロギーに基づいてなされてはならないものだ。天皇を日本人の、あるいは国体の「象徴」として考えるのなら、その「存続の義務」に関してだけは皇族のみなさん個々人の意志がどうあろうと、男性女性を問わず優先されねばならない、というだけのことである。 女性天皇は所詮、男性天皇の急死に伴った場つなぎ的なものに過ぎなかったのだからダメだ、という意見も昔からずっと言われていることではあるが、これも既に何度も反論されていることで、全ての女性天皇がそうだったわけではない。推古天皇は明らかに実権を持って即位しているし、神功皇后もいくつかの歴史書では「天皇」扱いされている。男系に拘りたい人々は、たとえ天皇家の血統が絶えようとも、かつての伝統とやらを捏造したいもののようだが、それがいかに本末転倒なモノイイであるかは、よっぽどの馬鹿でない限り、すぐに気が付くことであろう。こんなイデオロギーに取り憑かれて現実を見る目を無くしてしまっている連中は、実は反天皇制のアカ野郎じゃないかとも思うのだが(笑)、ま、自分たちの意見が逆に天皇家を危うくしかねないという事実も理解できてないだけのことなんだろうね。 問題は、愛子さまが女性天皇になったとして、その婿殿下になろうって奇特な男が出てくるかどうかということだが、紀子さま雅子さまだって、結婚を決意するには紆余曲折があったのである。天皇家の存続は、女性、女系天皇を容認したからと言って全てが解決することにはならない。大昔のコトバではあるが、立派な「ご学友」を同時に育成してくことでしか対応はできないんじゃないかねえ。
千葉ロッテマリーンズVS阪神タイガースの日本シリーズ、結果は4タテで千葉ロッテマリーンズの圧勝。3度目31年ぶりの優勝、と聞いて、あれ? と思ったことが二つ。 一つは、3度目って、2度目じゃないの? 確か昔、金田正一監督の時に「初優勝」って言ってたような……、とかすかな記憶が残っていたからなんだが、これは「毎日」時代を含んでのことだった。 「毎日オリオンズ → 大毎オリオンズ → 東京オリオンズ → ロッテオリオンズ → 千葉ロッテマリーンズ」という変遷だけれど、私の記憶は「ロッテオリオンズ」から始まっているので、それ以前のことは「歴史」としてしか認識していないのである。永田“ラッパ”雅一さんがオーナーだった時代もあったんだよなあ。もし永田さんが球団を売却しないでそのまま持ち続けて、徳間から角川にオーナーが移っていたら、今頃、球団名は「角川なんとか」になっていたのだろうか。で、徳間時代の球団名が「大映トトロズ」で、今だったら「角川フェニックス」とか「角川イージス」とか「角川スピリッツ」(←「妖怪」ね)になってたのかなあ、とか妄想してみる。全部戦わずに負けそうだけど(笑)。 もう一つは、前回の優勝からもう31年も経ったんだなあという時の流れの早さである。1974年、あの時の私ははっきりとロッテを応援していて、それはなぜかと言うと、巨人が10連覇を逃して長嶋茂雄が現役引退し、セ・リーグを制した中日ドラゴンズに対する反感から、「元巨人」のカネやん率いるロッテが雪辱を果たしてくれることを期待していたのである。あのころは私もまだ野球好きの巨人好きだったんだよなあ。 長嶋と王の引退で野球に興味がなくなってしまってもう久しく、今回の日本シリーズではどっちが勝とうと応援する気にはならなくなっていたのだが、やっぱり4タテってのは、ちょっと阪神を待たせすぎたせいだよなあ、と思う。ソフトバンクホークスとのプレーオフの時も思ったが、公式戦から日本シリーズの時まで、片方のチームが異様に待たされる状況はよくないよ。 でもって、もう一つの「あれ?」はというと、やっぱり「もう31年も経っちまったのかい」、ということ(笑)。ホント、ついこないだまで20代だったような気がしてたんだけどなあ。
今日は父の見舞いには行かず素直に帰宅。『愛のエプロン』が紅白スペシャルだから見逃したくなかったのね(笑)。 男軍団と女軍団の対決で、大竹まことさんが出演することは先週の予告から分かってたんで、てっきり「作る方」だと思い込んでいたのだが、食べる方であった。「男の手料理」本も出されているくらいだから、当然、味にはうるさい。つか、いくら最高級品のズワイガニを使ってるからと言って、堀越のりの料理を食べさせるというのは拷問ではないのかな。このムスメは、インリンとタメ張ってる驚異の料理ベタ&学習能力ゼロムスメなんだから。案の定、「お前は番組来るな!」と怒鳴られていたよ(笑)。 田嶋陽子の料理もたいしたことなかったんだけれど、こういうところで生活能力の低さを露呈してしまうと、フェミニズムもやっぱり自分の無能を覆い隠すための言い訳に過ぎないって気がしてしまうのだよね。それこそ男だろうと女だろうと、「食えるものを作って食う」は生活の基本でしょうが。 最高に美味い、店を開けと絶賛されたのが杉本彩の料理だったのだが、色気と食い気と両方で迫られたら男はたまらんだろう(笑)。いや、色気だけの人ではないのだよと言いたいわけで、その点でいろいろ誤解を受けることの多い人だけれども、役者としてもこの人はもちっと評価されて然るべきだと思うんだけどね。
ドラマ『相棒』第3話「黒衣の花嫁」。 サブタイトルの元ネタはウィリアム・アイリッシュ……じゃなかった、コーネル・ウールリッチだね。「ブラック・ウールリッチ」だから。って、何のことだか分からない基礎教養のないエセミステリファンは去れ。ジャンヌ・モロー賛江。 こういうサブタイトルを付けられると、この「黒衣の花嫁」に当たる人物が実はムニャムニャなのではないかとつい想像してしまうが、そこまで芸のないことを『相棒』のスタッフはしない。しないけれども、じゃあ、もっと面白くしてくれてるかというと、そうでもないのが今回のエピソードの弱いところ。遠野凪子をわざわざゲストに呼んどきながら、ほとんど出番がないって、そりゃないよってなものであるが、真犯人の設定も新味がないし、犯行の動機が解明される手順は、もっと精密に行われなければミステリーとして成立し得ない。それができなかったのは「一時間枠」という制約のせいだろうけれども、だったら最初から遠野凪子に関する部分はカットして、真犯人のアリバイ崩しと動機探しだけに物語を絞ってた方がよかったと思うのである。でなけりゃ全く逆に、遠野凪子メインにドラマを仕立て直すとかね。 『古畑任三郎』がトリックに弱点があっても「一時間枠」で見られるものになっていたのは、倒叙形式を取っていたために物語を「古畑対犯人」の対決ものとしてシンプルに仕立てられ、本格ものの場合の「犯人探し」の要素を省略することができていたからである。前半は犯人捜し、後半は犯人との対決プラス動機探しなんてのをたった一時間でやろうなんて「詰め込み」ミステリー、土台、成功するわきゃないのである。 だからまあ、「物的証拠はこれから見つけます」で幕切れにしなきゃならなかったり、冷静な右京さんをあえて怒らせてむりやりドラマチックに仕立てようとしたりと、姑息な手段ばかりが目立つことになってしまうのである。 なんかこの「冷静な探偵が怒る」ってパターンも、いつから始まったのかね。うまく成功している例というのをあまり思いつかないんだけれども。『古畑』や『機動警察パトレイバー2』は明らかに『刑事コロンボ』の影響下にあるんだけれども、遡ってくと、ドストエフスキー『罪と罰』のポルフィーリー判事にまで辿りつきそうだ。けれど、これをやれるのは犯人がよっぽどヒドいやつじゃないと無意味で、今回も「どうしてこの程度の犯人相手に右京さんともあろう人がそこまで激昂しなきゃならないの?」と不自然に感じられてしまうのである。こういうネタでやるんなら2時間枠の時にやろうよ、ねえ。 それからゲストの一人、坂田聡(さかた・ただし)さんだが、『ケータイ刑事 銭形舞/シベリア超特急殺人事件』の時も似たような印象の役を演じていらっしゃった。慌て者風なキャラクターで結構好きな役者さんなのだが、もうちょっと幅広い役を演じてくれないかなと、ちょっと気になった。
『蟲師』の感想は深夜アニメで翌日になるのでまた明日(笑)。
2002年10月26日(土) 確信犯だったのか柳美里/DVD『ビリイ★ザ★キッドの新しい夜明け』/『新暗行御史』第四巻(尹仁完・梁慶一)ほか 2001年10月26日(金) それは愛ゆえの殺人か/『孤島の姫君』(今市子)ほか 2000年10月26日(木) さすがに櫃まぶしは英語字幕になかった/映画『ラヂオの時間』ほか
日記の表紙へ|昨日の日記|明日の日記
☆劇団メンバー日記リンク☆
藤原敬之(ふじわら・けいし)
|