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■ 心のこと。(その1)
心と知り合ったのは
アラスカから帰って、打ち込むものを探してた時。
始めたスカッシュで相手がいなくて
トレーナーに、その場で紹介された彼と
よく組むようになった。
パートナーでライバル。
ただ、それだけだった。
心が来ていないときに
その後知り合った仲間の誰かと組むこともあったが
心が仕事を終えて来ると
暗黙の了解で、仲間が心にあたしを譲っていた。
練習時間が長いこともあって
あたしと心は、どんどんレベルを上げていき
仲間に差をつけていたが
いつも、あたしの方が腕がよく
ほめられるのは、あたし。
心を特訓して、引っ張っていくのもあたし。
あたしは、彼が仕事にいってる時間も
練習や勉強に励んでたから。
悔しさからか
心の練習時間がさらに長くなった。
当然、あたしとの時間も増えていく訳で。
そのうち、あたしが誰かと組んでいると、妬くようになった。
特に、相手が男の時。
心は、とてもわかりやすい人で。
あたし達、付き合ってなかったのに
あからさまに不機嫌になってるのが、誰にでも判った。
あたしは、彼のあまりにも子供っぽい言動に
コンビニで買ったおにぎりを食べに行った公園で
諭すように、彼に言った。
あのね、あたし達、誰が見ても、カップルよね?
「え?」
みんな、そう見てるよ。あたしもそう思ってるんだけど?
「え?え?」
だから、妬かないの!
・・・心、しばし、無言のあと
いきなり大声で
「オレがいつ、告ったよ!」
心、興奮。
でも、あたし、冷静。
んー?昨日、ぶっ倒れてた時、寝言で言ってたやん。
「なわけない。」
「まだ言ってない!」
あはは、ほんと判りやすい奴。
じゃ、言ってよ、と促し
やっと、言ってくれた。
彼のいい所は
何かをやるときは、手を抜かない、ってとこ。
あたしと似てる。
ぶっ倒れるまでやる、それが当たり前。
集中してるときの、あたしの相手になれるのは
今までの人生の中で、心だけだと思う。
やっと巡り合えたな、と思った。
パートナーでライバル。
あたしは、この関係が好き。
でも、本当に望んでるのは
あたしをリード出来る男。
あたしに好かれようと
自分の実力以上に大きく見せたりする男は
今までたくさんいたけど
実際は、あたしが、手を抜いたり
アホなフリしたりで、リードさせるようにもっていってただけで。
そのことにいつまでも気がつかないで
現状に満足し、そこで成長しなくなる。
それ以前に、
はったりをかましすぎてて
自分を見抜けない奴って、
それだけで、かっこ悪い。
けど、心は、違った。
彼は本当に努力家で
自分の実力を自分で見抜いてて
いつも上を向いてはいるけど、
不必要な、はったりをかまさないところが
あたしは、とても好きだった。
少なくとも、その時はそう見えた。
リードされてる男って、
それに気づくと、目先の小さなことで
勝った、と主張したがるが
それも心は違った。
あたしに早く追いつきたい、と
みんなの前で臆面もなく言って
オレには、なぎさがいるから、絶対に強くなれる。って
仲間にあたしを自慢してた。
好きが、あたしの中で
大きくなりすぎていたのかもしれない。
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by なぎさ
2005年07月21日(木)
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