詩のような 世界

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2007年12月29日(土) 消える旋律



透明な小さい男の子は

諦めを含んだ無邪気な笑顔を残して

赤く燃える火柱に入っていった


誰かを疑うことが嫌いだったから

愛したことなんてなかった

徐々に色を失ってから気づいた

その過ちに


街中を見渡すと

透明人間はあちこちにいた

まだ遅くはないよ

渦巻く炎に身を焼かれながら

少年は叫ぶ

こんなに熱く裂かれそうな痛みだなんて

かすれていく声は飛び交う雑音に消された


すべてが崩れ落ちた瞬間

小走りのOLが降り積もった灰の辺りを振り返った

立ち止まり

自分の透けた手のひらを

色の抜けた瞳で見つめた

ふいに身震いしたのは

本当に12月の風が通ったからだろうか

彼女は数分間、まったく動かなかった


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しえり |MAIL