爽やかな青空であったが陽射しはすっかり初夏であった。
もう直ぐ5月になるがそれにしても異常な程の暑さである。
朝の山道を行けば道端に黄色い可愛らしい花が沢山咲いている。
一括りに雑草とも呼べず「ウマノアシガタ」と云う名があった。
別名を「キンポウゲ」とも云い初夏を代表する野の花である。
実は今日まで知らなかったのだが有毒植物なのだそうだ。
駆除対象にはなっていないようだが何だか憐れに思えて来る。
毒を含んで生まれて来たのもその花の定なのだろう。
もしかしたらそうして身を守り続けて来たのかもしれない。

今朝は職場に着くなり珍しく義父の姿があった。
また逃げられないようにと仕事の段取りを伝えたのだが
ひどく機嫌が悪く「まあ待てや」と口調が荒かった。
そんな時は一切話し掛けてはいけないのだ。
気は急いていたが自分を宥めるように黙り込んでいた。
しかし義父なりに段取りをしていたらしく
一時間ほど待っていたら車検を2台済ませてくれた。
今日が納車の予定だったのでどんなにか助かったことだろう。
すぐさま書類を整え宿毛市へと納車に向かった。
不具合の多い車だったが完璧に直っておりお客さんも大喜びである。
そのままとんぼ返りとは行かず別のお客さんの車を引き取りに行く。
一日車検を依頼されていたのだが義父次第であった。
嘘も方便で混雑していることを伝えると明日まで待ってくれるそうだ。
約束は必ず守らなければいけない。義父に念を押す必要がある。
同僚は引き受けてくれたが何としても義父を捕まえねばならない。
整形外科のリハビリと診察がある日だったので3時前に退社した。
リハビリは直ぐに終ったが診察までの待ち時間が長く疲れ果てる。
医師は私の事どころではなく義父の心配ばかりしていた。
一度レントゲンを撮りに来るように云われたが無理な話である。
早朝から日暮れまで田んぼでのたうち回っているではないか。
薬局で薬を待っていたら義父の予備の携帯から着信があった。
もしやと思ったその通りでいつも使用している携帯を紛失したらしい。
これまでも何度もあったことで予備の携帯を準備したのだった。
呼び出し音は聴こえているらしく田んぼに落としたのではなさそうだ。
この忙しいのにと酷く苛立っており返す言葉も見つからない。
明日私が探してみるからと伝えやっと落ち着いたようだった。
5時前に帰宅。今日は遅くなるので娘に買物を頼んでいた。
何と鰤の切り身を買って来ておりおどろく。
食費は渡しておいたが娘なりに頭を悩ませたのだろう。
食品の値上がりを目の当たりにしたのではないだろうか。
娘と夕飯の支度をしていたら夫が「あやの髪を見たか?」と訊く。
階段ですれ違ったがまともに顔も見ていなかった。
昼間娘が美容院へ連れて行っていたのだそうだ。
3年ぶりではないだろうか。髪は長くなり腰まで届いていたのだった。
家から一歩も外に出たがらなかったあやちゃんが美容院へ行った。
それが進歩でなくて何だろうと思う。
なんだか明るい光が射し込んだように思えて感動すら覚える。
「髪の事を云ったらいかんよ」と娘に念を押されたが
どんなにか可愛らしくなっていることだろう。
一目見たくてならない夜になった。
※今朝の詩は昨日見た馬酔木の花のことを書いた。
化石の花
枯れることはあっても 折れることはあるまい
早春に咲いた花である 初夏の風に揺れながら 過ぎし日を思い起こす
旅人が足を止め 触れた時の指先 その温もりを忘れない
もはや朽ちようとしている 純白の花は茶の色に染まり それでも嘆くことをせずに 山肌に寄り添い続けている
やがては化石のようになり 花だったことを偲ぶばかり
哀しい姿であってはならない
季節は約束したように 何度も巡って来るのだから
|