KeeP OuT!

2004年08月13日(金)



「あっれー、偶然、なんでこんなトコいんの?」

「…それを言うならオマエこそ、なんで」

「んー、買い物?食料調達ー、みたいな」

「あ、っそ」


深夜2時を回ったコンビニ。

客は俺ら以外にはいなくて、店員は携帯に夢中。


「オマエんち、こっちじゃなくない?」

「うん、そーだよ」

「じゃーもっと近いトコ行けばいーじゃん」

「まぁまぁ気にしない気にしない」

「べつに、気にしてないけど」

…気にしてないなんて言ったら嘘だけど。

お前の突拍子もない行動はいつものことだから。

「あ、これ美味いんだよー」

手に取ったのは、桃のチューハイ。

「…俺酒呑めないんだけど」

「あー、そーだっけ」

美味しいのにもったいねー、って顔でそれを元の場所に戻す。


「……ねぇ、キリト、元気?」

振り向いたお前の顔は、驚いたような顔をしていて、

「……元気?」

息を飲んだのがわかった。

「…うん、元気元気。すげー元気」

「そっか、」

「…うん」

「また、3人で会おうよ」

「うん、」

「また昔みたいにさ、酒でも呑みながら」

「…潤くんお酒呑めないじゃん」

「あー、そっか」

「またでろでろに酔って動けなくなってもいいならいいけど?(笑)」

「まだそんなこと覚えてンのかよ」

「当たり前じゃん」

「お前も人のこと言えないくらい酔ってたけどな(笑)」

「そうだったっけ?よく覚えてンねー」





(だって、大切な思い出だもん)





言わないけど。

言えないけど。





(まだ 好きだなんて)

(なんて女々しいんだろう)








「…じゃ、また連絡するから」

「うん、あ、携帯変わったんだけどさ」

「俺変わってないからまた電話してよ」

「わかった」

「じゃあ」

「うん、―――また、今度」

「おやすみ。早く寝ろよ」

「潤くんこそ人のこと言えないし!」

「(笑)」

「じゃあね」

「ばいばい」



お前が行ったあと、

さっきお前が手に取った、桃のチューハイと、

お前が大好きだった、チェリーの味がするゼリーを買って、

帰り道で、泣いたんだ。



「…まだ好きなんじゃん…」



お前の大好きな味を、思い出した。


あの日は、もう帰ってこないけど。




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