将来に対する不安とか、 これから先どう戦っていったらいいのかとか、 そういう不安は絶えないけれど。
・ ・ : ・
「あ゛ーーーーーーーだめだだめだ!!」 カシャン、と手に握っていたペンが床に落ちた。
「ぜんっぜんだめ」
もうすぐ曲出さなきゃいけないのに。 いいフレーズさえ思い浮かばない。 アイジは隣でジャカジャカ弾いて、 鼻歌まで混じってるのに、俺だけ何か取り残された気分。
「あー…もう、」
最近イライラする事が多い。 原因不明のイライラ。
…多分、焦ってるだけなんだけど。
目の前のこととか、 これからのこととか、 全て。
「じゅーんくーん!」
俺とアイジ(とタケオくん)の部屋を仕切ってる襖が勢いよく開く。 こういう時は、アイジが俺に何か話したいとき。
「何?」 「あのさ!俺的に過去最高にカッコイイフレーズ考えちゃった!!」 「あー、そう」 「んでさ!潤くんに聴いて欲しいんだけど!」 「あー、そー」
だめだ、アイジとも話したくない。
「…潤くん、どうしたの?」 いつもなら、マジで!?とか言ってくれるのに…とアイジは項垂れた。 「何が」 「何か…怒ってる?」 「別に。怒ってなんかないけど」 「…俺なんかした?」 「何もしてないよ」 「俺なんかしたなら謝るし、悩みあるなら聞くけど…」
ああ、だめだ。 今はお前の言動全てが気に障る。
「…っるさいな」 「え?」 「うるっさいんだよオマエ。ちょっと一人にしといてくんない?」 「じゅん、くん?」 「…一人にしろっつってンだろ」
アイジは静かに襖を閉めて、自分の部屋に戻った。 その後、玄関のほうで音がしたから、多分アイジは本当に出て行ったんだろう。
今更、罪悪感。
「あ゛ーっ、わっけわかんねー!!」
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はぁ、潤くん怒らせちゃったよ。 あんまり怒らない人なのに、怒るなんてよっぽどだったのかなぁ… 何かあったのかな。バイト先で。 …それとも俺嫌われてる!? そんなことない!! 今まであんだけ仲良かった(と俺は思う)のに、イキナリ嫌われるとか…。
あー、俺的にちょー凹む。かも。
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なんでこう、自分がイライラしてるだけななのにアイジにまで当たっちゃうかな。
「はー…」
ギターを置いて、部屋を見渡す。
「ほんとに出てったのかよ…」
アイジのいなくなった部屋はヒドク静かで、
「…あー…」
虚無感と罪悪感に襲われた。
上手くいかないことが多すぎて。 自分の思い通りには事は運ばない。 それくらいわかってる。…わかってるつもりだった。 それでも、やっぱり思い通りにいかない事が多くて、自然とイライラして。
アイジとか見てると、すげームカツクんだ。ほんとのところはさ。 だって、毎日すげー楽しそうだし。悩みもなさそうだし。 本人にしてみりゃ色々悩んでることもあるんだろうけど、少なくとも俺にはそんな風に見えなくて。
焦ってるのは俺だけ?
何に対しての焦りなのか。 それさえもわからずに。
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