SS日記
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教室から昇降口へと続く廊下を榛名元希は歩いていた。 放課後の校舎はすでに人も疎らだ。 先日阿部が言っていた事件がマスコミから発表され、部活動が全面的に禁止された為だ。 当然、シニアチームの練習も再開の目処さえたっていない。 違う学校に通っている阿部ともあれ以来会っていなかった。 下駄箱の前、靴を履き替えようとして手を止めた。
(公園にでも呼び出すか?)
キャッチボールをするとでも言えば、阿部は文句を言いながらもきっと来るだろう。 そう思うと、それはとても良い考えに思えた。 急ぎ、鞄の中から携帯電話を取り出し―
―なんでオレはわざわざアイツの顔を見に行こうとしてんだ?
途端、顔を顰める。 よく分からない苛立ちが榛名を襲う。
近頃気を抜くといつも、いつでも阿部の顔が脳裏に浮かぶ。 その度、よく分からない苛立ちと痛みが榛名を苛んだ。
―何故なんだ。
きっと、阿部がいけないのだ。
タカヤが在るから
オレを見るから
タカヤが微笑うから
有り得もしない
叶う筈のない
夢を見せつけるから―
「榛名」
名を呼ばれ、榛名は振り向いた。
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