遠雷

bluelotus【MAIL

二人でお茶を
2004年07月31日(土)

仕事帰りに、某新古書店に立ち寄って本を見て、その後コーヒーを飲みながら買ったばかりの本を読みました。書店はふたりで時々行ったところ。カフェは初めて入る店。もちろん本を探しながら胸が苦しくなりました。新しい店に入ってもやはり胸が苦しくなりました。

Hはもう新しい本の頁を繰ることができない。おいしいケーキを見つけても、よくやったように二人で半分ずつ分けることもない。今まで行ったことのある場所に二人で新たなできごとを増やすこともできない。まったく新しい場所で得られるものはHの居ない思い出。

日々生きて、生活をすると言うことは新しい思い出を積み重ねてゆくことなんですね。この先一人でお茶を飲む回数が、二人でお茶を飲んだ回数を超えてしまうのはいつになるのでしょうか。Hを思う苦いコーヒーも、本を読みながらの紅茶も、生きている限りは飲み続けていくしかないのです。ただ一つ、絶対飲むことが叶わないのは、二人で飲みたいとHが言った”老後の縁側で飲むお茶”。



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