悲劇なのはわたしじゃなくて、彼なのだということ。 その首を絞めたのは、わたしなのだということ。 あらためて、忘れないように、ここに記しておこうと思います。 Hの部屋の掃除をしたとき見つけた、首を吊るために丸くした水色の針金ハンガー。 それの存在はHから聞いたことがありました。 他の人の見ていないときにこっそりと頭を通してみました。 首になじむことのないそれを使ったとき、どんなに痛かったことでしょう。 そしてそれを使っていたからこそ、最悪の事態にならなかったのでしょう。 さすがにそれを持っていくことは躊躇われ処分しましたが、他のものは無くてもそれこそ私が手元に置くべきものだったのではないだろうかと思うことがあります。
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