思い出の貝殻をお気に入りの小瓶に詰めたら・・・
耳に近づけてそっと・・振ってみてください
懐かしい音が聴こえて来ませんか!?
小船の感傷
風の色が見えた
暮秋の昼下がり
水鳥は湖畔に遊び
わたしも
ゆるやかな時間
青い湖に
小船を浮かべてみる
薄く彩づくユーカリの下
水際の木漏れ日を浴びながら
ただ流れのまま
何かの音がする・・・
時に水音 魚が跳ね
時に風音 木の葉が擦れる
時に誰かの声 あなた
目を閉じてみる・・・
あなたの面影と湖の景色が
一枚の絵として映される
小さなパレットから
少しづつ色を重ねる
透明な色
不透明な色
虚ろな花びらが
次々と
落ちては浮かぶ湖のように
あなたとの思い出に
ひとつずつ色を乗せる
小船は
静かな午後の陽射しを映しながら
漂い続ける
あなたが呼ぶ声が聴こえ
確かな感覚でわたしに響き
あなたの姿が浮かび
確かにわたし
あなたを愛していると感じる
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siki [MAIL]