ことばとこたまてばこ
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2008年06月24日(火) |
サバンナのおんなのこ |
花の色、空気の色、水の色、手の色、 どれもがはっきりと思い出すことができなくてー・・・ ええ、そう、たしかにあたしは知っていたはずよ でもおかしいわ いくらあたしの底をすくってもなんにも思い出せないの
すっかり困り果てたおんなのこ まっしろでおおきなおめめを細めて ため息つきながら祖父のしゃれこうべに腰をかけた
おめめを固く閉じて 甘く、濃厚な、やるせない溜め息を ぽわりと何度も吐き出していたそのとき
巨躯なる象の群れが目の前を駆け抜けた
すさまじい地響き、土埃り、鳴き声、
一切合切の音がとろけあって天も貫かんとばかりにざんざめく
花の色、空気の色、水の色、手の色、
ああ、そうだわ
何も思い出せなくて当たり前だわ
わたしはおじいちゃんのしゃれこうべに座って ただ ただ 泣き暮れていただけだったわ!
おんなのこ、 そのことに気づけたことがあまりにも嬉しくてはしゃぐ
おしゃまなおんなのこのやわらかな首筋を狙って ♀のライオンの群れが草葉の陰で、身構えてる
腹を空かせたライオンたち、 美味しそうな恰好のエサを見つけたことがとても嬉しくて喉を鳴らす
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