『庭の話』

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恐怖の天幕毛虫

大量に撒いたワスレナグサが翌年春に咲かず、更にその翌年に一斉に咲きました。
咲かなかった年には2株ほど買って植えてもいたのでそのタネなのかも知れないし
はっきりした事は判らないんですが、その年はとにかく見事に咲いたのです。
我が家の庭は草花ばかりをいじる低血圧庭師の他に、以前住んで居た家から持っ
て来たもう、かなり大きくなった木達と芝のお世話をしてくれる専門の庭屋さんが
来てくれます。
樹木の消毒と剪定、冬囲いも専門の方の仕事です。
ワスレナグサが咲いた時、丁度庭屋さんが樹木の消毒に来ていました。
「姉ちゃん(私は家主では無いので年齢に関係無くこう呼ばれてます)随分また
見事に咲かせたねえ」顔見知りの庭屋さんのおじさんが、塀の上に乗っかって休み
がてら褒めてくれました。
夕暮れになるとワスレナグサの青い色が何とも綺麗なのです。庭が光っているように
見える事がありました。
「ありがとう」相変わらず、どちらが職人さんか良く判らない格好で 私も庭に居ます。
「それで・・・どわあああっ」突然おじさんが身を仰け反らせました。塀から落ちるかと
私も慌てます。
「な、な、な、何だこりゃ!きんもち悪りぃ!!」おじさんが指差す方を見てみると
そこには何百匹と言う毛虫の行列が・・・・・・。
ボケの枝が太くなって動いている様に見えます。彼らは今、卵から孵ったのです。
「こりゃ手に負えん。ねえさんを呼んで来ないと・・・」
おじさん、職人さんだけど毛虫は苦手なのね・・・。ここで言う「ねえさん」は
ベテランのお庭屋さんのおねえさんです。植物の知識にも詳しく、虫にも詳しい
素人庭師憧れの、お庭のプロ。
前庭に居た「ねえさん」登場。「あ〜こりゃ、ウメケムシだわ。これ、ここから
孵ったんだよ」ねえさんはボケの枝に残る目の細かいクモの巣のような物を指しました。
「ビニール袋持って来て」

枝を落とすと、枝に着いた数十匹の毛虫が下に落ちます。ひいい〜
枝をビニール袋に入れ、消毒。ボケの周りも消毒。
「これ、一日待ってから捨ててね」 おねえさんから受け取ったビニール袋の
中身は・・・ひ、ひいいいい〜っ

大量発生した虫の正体はウメケムシ、別名天幕毛虫。ウメの木に良く付くので
この名があるらしいですが、桜にもボケにもバラにも付きます。
これはオビカレハと言う蛾の幼虫です。このオビカレハは中型の蛾で、何となく
地味な色合いでちょっと毛深くて、いかにも「蛾だな〜」と言う感じのする奴です。
この卵は細い糸で作ったテントのような物に包まれて冬を越します。
天幕毛虫の名はここから来ています。殺虫剤などに大変弱い毛虫で、毛はありますが
毒は無く、すさまじく気色悪い孵りかたをする以外は見た目ほどの悪さはしません。
ドクガやイラガに比べると、極端な話 ぷちぷち潰しまくっても問題無い奴らです。
でもやっぱり気色悪いですね、大量にいると。一匹一匹はニャッ○みたいな顔を
してなくも無いんですけどね。
「ああああ気持ち悪かった」って、おじさんも帰る前につくづく言ってたもん。
もうワスレナグサどころじゃありません。
こいつらがワンサと溜まっている状況だけは嫌だという人は、テントを見付けて
みるといいと思います。そして早めに駆除ですね。

枝から落ちた毛虫もその後一匹も見かけませんでした。どうやら全滅。
薬には本当に弱いみたいです。他の一部毛虫も見習って欲しいくらい。


管理人 焙煎 |午後からガーデン