赤い×印 - 1987年03月15日(日) K先生の診察は丁寧なものだった。 今から思えばあのお忙しい先生が、あの日、私のためにいったいどれだけの時間を使ってくれたのだろう。 私のあとのK先生の患者さんは、待ち時間がいつもより1時間は長かっただろうと思う。 その日のうちに入院日と手術日が決まった。 入院は4月1日、手術日は4月3日だった。 手術日までの2週間、できるだけ腫瘍を小さくしておきましょうという先生の方針で、翌日から1日おきに、コバルトの照射に通うことになった。 コバルトをあてるために、舌の位置、腫瘍の位置を測定し、左頬に赤い×印が付けられた。 手術の日まで、×印はそのままである。 診察のあと、検査部で血液、尿検査等を受け、レントゲンを撮り、一日がかりでGK病院の第一日目は終わった。 ...
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