眠っている彼を一人置き去りにして部屋を出るとき、 躊躇わなかったわけではない。
たぶん起きて私がいないことに気づいたら、 ものすごく焦って、おろおろするだろう。 そんなのはかわいそうだ。
そう思った。
でも、置き去りにした。ごめん。
彼女と寝たベットに平気で私を横たえたことが、 ものすごくうす悲しかった。 心がすうすう冷えて、冷たい風が通り抜けるような気分だった。
はぁ。 あのまま部屋にいたら危なかった。 自分を守るのに必死だった。
昨日の彼の神経は未だに信じられない。
朝になって電話があったけれど、出なかった。 メールで謝られた。
『昨日は先に寝てしまってごめんなさい』
…いや、そうじゃないんだよね。
分かっていないみたいだ。
私の心をつなぎ止めてくれないと、
このままだと遠くに行ってしまいそうです。
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