極彩色、無色
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どん底ってこういうことだと、初めて知った。
泣いているばかりで、話もできそうにない父に代わり、兄が大方の手続きをした。
また後日、警察署に来ることになり、その日は帰宅。
司法解剖が残っており、母の死体は引き取れなかった。
家に帰ると間もなく、兄が電話で伝えたのだろう、親戚が来た。
皆泣いていた。
警察で聞いた事故の状況を話す。
私もその時、初めて聞いた。
人対車の事故。
頭を轢かれていて、顔は正視に耐えない程。
身元のわかる物は持っていなかった。
あったのは、ポケットに入っていたキーホルダーだけ。
乗っていたはずの車は近くに見当たらず、捜索中。
事故現場は、高速道路。
上を通る橋から落ちたらしい。
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