今日は寒い一日。 ここ数日は暖かな陽射しが続いて。 近所の神社。 境内に植わっている河津桜が。 ほわりと花を綻ばせた。 昨日とは打って変わったグレーの空枠一杯に重なる、淡紅色。 しばし足を止め、天を仰ぐ。 自然は本当に綺麗だ。
気圧の変化が激しくて、毎夜喘息に悩まされていたけれど。 その苦しさも一時忘れて幸せな時を流す。 アタシが生まれ育った街は。 桜がとても多い処だった。 花の名所もあって、季節ともなると花見客で一杯になった。 そこが子どもの頃の遊び場だった。 桜は、花の季節ならずとも、夏の葉桜や冬の裸木でさえ。 いつも身近にあって。 思い出の中、どこを切り取っても影がある。 だからいっそう桜が恋しいのかもしれない。
いろいろな理由があって、故郷へは帰れないのだけれど。 心の中だけでも帰る場所があるということは。 本当にありがたいことなんだな。 生きていれば必ずまた。 あの風景の中に立つことができるから。 今は河津桜の色を見て。 それだけで、よし。 うん。 十分だよ。
|