羊水#7 - 2007年06月29日(金) 背中に ごつごつした木肌を感じていた。 彼は、台無しになった時間を取り戻すように、 わたしを後ろから抱きすくめ、 くちびるを重ねようとした。 戸惑い抗いながら、太いその木に阻まれたとき、 ふいに無意味な抵抗をしている気がした。 もっと近づきたいと思っていたくせに、 失敗したのはわたしなのに、 まるでお高くとまっているみたいじゃない。 わたしは目を閉じて、 さっきまでの全てを消そうと思った。 今初めて出逢った人みたいに 彼を感じようとした。 くちびるのかたち 体温 硬い肩の骨 節くれた長い指 どっちにしろ、知らないことだらけだった。 あまりに余裕がなさすぎて、 キスがどんなだったかも忘れていた。 太い針葉樹に身体を押し付けられながら、 わたしはゆっくりとくちびるを開き、 彼の舌を迎え入れた。 -
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