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2006年12月08日(金) 赤々煉恋/朱川湊人

赤々煉恋/朱川湊人


切ない余韻の残る 五つの物語
と、本の帯には書いてあるが
切ない というよりも、やるせなさが残る物語だ。

やるせなくものくるおしい
けれども、イヤじゃない。
(苦手な方もいるとはおもうけど)

「花まんま」「わくらば日記」「かたみ歌」などの
怖いけれどもノスタルジックなほのぼの感ではなく
「都市伝説セピア」や「白い部屋で月の歌を」を
さらにダークに深めた感がある。




『赤々煉恋』
赤々と燃える煉獄の炎のようにもの狂おしいまでに恋焦がれ切望する。
作品中でも「フィリア」という言葉が使われている。
「フィリア」とは、変質的に固執する傾向を表す言葉で
医学的心理学的にはもっと難しい意味合いがあるようだけれど
一般的には偏執的で変質的な意味合いに理解されている。
この作品中に登場する人物も、
まさに「フィリア」なレベルで焦がれる人々だ。
ネクロフィリアであったり、アクロトモフィリアであったり。

けれども、そういった奥底に秘めておきたいような
赤裸々に表現するのはどうか、といったような事柄を
淡々とグロテスクにならずに、美しく表現してしまえるところが
朱川湊人の力量なのだろうとおもう。




・死体写真師
・レイニー・エレーン
・アタシの、いちばん、ほしいもの
・私はフランセス
・いつか、静かの海に



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