バス停、タバコの煙と雨の音
声も髪も指先も、
何も知らないのだもの
搾り出される歌だけで
あなたは形作られる
早く何もかも燃え落ちて
入れ物や決まりごとなんか
捨ててしまって
誰のものでもなくなって
全ての心が分かち合う世界で
あなただけを選び取り
ここでひとり重ねたリズムを
そこであなたと繰り返そう
バス停、タバコの煙、雨の音
歌と引き換えに名前をなくした男の子
わずかな答えでたゆまなく
あなたは形作られる
それでも
境界なく寄せるさざ波が
枯れかけた感情のなかに
少しの熱を帯びてとどまって
区別もつかぬ小娘でもあるまいに、
そんな風に笑われたとしたって
2009年10月27日(火)