ノー自意識 - 2011年08月27日(土) 僕は人に家にお邪魔したときにその人の本棚をチェックするのが好きだ。その本棚が実用書だらけでも趣味的なマニア本だらけでもその人の人生の一部に入り込んだ気になれる。 その本のカビ臭さを感じたり日に焼けた背表紙を眺めるだけでもうひとつ別の人生を追体験した気分というか、その人の歴史をわかった気分になれるというか小さいころから読んでいる本とか当時のベストセラーなんかがあるとなお良い。 本屋や古本屋に行ってもそういう感覚は得られない。趣味が合う合わないの問題じゃないのだよ。 ところで『その人との心的距離×本棚のエグさ=衝撃度』っていう式が成り立つと僕は考えている。 例えば親しい友人の部屋に遊びに行ってつげ義春先生の「ヨシボーの犯罪」の初版本が置いてあっても別に驚かない。 しかし上司の娘さんの部屋に「アウターゾーン」とかが置いてあると「うわぁ、やべえもん見ちゃったなー」っていう気分になる。親しくない人が「めんどくさい一面」ってのを持っていることを発見するとドキドキするって感覚わかりますかね?ゴールデン街の店主がナゴムレコードの手ぬぐいを頭に巻きつけていても違和感無いけど、社員旅行で課長クラスの人がスミスの「ミートイズマーダー」のTシャツ着ていたらショックみたいな(実話) そういや親戚で大金持ちの一家がいる。5年に1回くらい遊びに行くと母上がイタリア歌曲を歌ったり息子のピアノ伴奏でみんなで合唱したりと自分とは違いすぎる趣味を持っているご家庭。自分には眩しすぎてそのご家庭に対しては小さいころから「なんだかなじめないなー」と思っていた。しかし先日末っ子の娘さんが某私立中高一環のお嬢様校に合格したのでお祝いに行った。 そしたらその子の本棚には「墓場鬼太郎」が全巻コンプリートしているわけですよ。「ゲゲゲ」ではなく「墓場」。良家の12歳女の子が水木しげるイズム・・。衝撃。本人曰く「妖怪好きなんです」。 別に友人の家ならば何一つ驚かないんだけど「よそ行きのテンション」の時にこういうものを見るとドキっとする。 先日義父から「本を処分するんでしょ?車でそちらに行くから捨てる予定の本をブックオフへ持っていってあげる」というお申し出があった。そのときは大いに焦ってすぐにその処分する予定の本の一部をベッドの下に隠した。 捨てるはず本の中には蛭子能収先生や根本敬先生の書籍が大量にあるわけだよ!!いやー義父にはこんなの読んでいるとは思われたくない。ブックオフで引き取ってもらえなかったら何たる羞恥プレイ! 特に根本先生の本って言うのは一般人から見ると非常に下品です。韓国のインテリには「根本先生の本は韓国ならば死刑です」と言われるくらいに酷い内容が多い。しかしよくよく読んでみるとその実ものすごく仏教的。近くで見ると汚らしいけど遠めに見ると曼荼羅になるというか。 しかしきっとそんな言い訳をする間もなく義父に「あ、こいつダメだな」と思われるのがオチなわけで・・・。 -
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