2012年08月01日(水) |
伊織の手紙−海より−(仮)・1 |
拝啓 お父さん、お母さん、ばあちゃんへ
こんにちは。伊織(イオリ)です。 白花(シラハナ)はもう夏になってるのかな。わたしが住んでるここ、ティル・ナ・ノーグには四季がないので時々懐かしく感じます。この時期だと海びらきがはじまってるんでしょうね。精霊にさらわれないように祈りを捧げて、その後海でたくさん遊んで。ひょっとしたらお父さんはもう先に泳いでいるのかも。風邪引かないようにお母さんは気をつけていてください。
そうそう、海といえば――
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本当はみんなで海に遊びに行きましたって手紙に綴るはずだったのに。 「…………」 顔が赤くなってそれどころじゃない。 薄茶の髪にダークグリーンの瞳。普段見慣れているはずなのに今はこんなにも近くて。 足下が宙をあおいでおぼつかない。それはそうだ。わたしの腕は目の前の人物にもたれかかる形になっている。 つまりは横抱き。俗に言う―― 「……大丈夫か?」 それを、よりによってこいつにされているなんて。 「……うん」 そう返事をするのが精一杯だった。
過去日記
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