山の家に緊急避難。ふらふらでハンドルを執りたどり着く。一日中、寝て過ごす。眠っては目覚め、目覚めては眠る。今日は「寝たきり」という言葉に、一切の悪いイメージをもつことができない。槿は、もう少し低く刈り込んだほうがよいだろうか、と庭先から問う父に布団の中から、満開の濃い桃色の花を眺めつつ、そのままでよいと思うと応える。疲れてむき出しになった感情の芯線が、少しずつ被覆されはじめる。