「ビルの十階から落とした卵も割れません」という文句の衝撃吸収マットのごとく、 ここ数日、いつになくナーバスなAを、受け止め続ける。 もっとも、Aも同じように主張したいかもしれない。 女親は退屈で困るが仕方が無い、と。
ゲン直しに、プールへ。
流されるプールでもなく波に漂うプールでもない、シンプルな市民プールは、 休日でもずいぶんと空いている。200円で入れる。
男親の不在からも、女親との閉塞感からも自由になったAは、 ゆらりと浮かぶ感覚や、ずっしりした抵抗を楽しんで、 魚のように水と遊ぶ。
そのうちには、浮き輪や水中メガネをかなぐり捨てて、 ぷかぷかひらひら浮かんでいる。
乱反射する水面からざばと顔を出し、大きな声で、笑う。
2004年08月27日(金) 男と女戒厳令
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