2011年10月29日(土) |
亡国に至るを知らざれば之れ即ち亡国の儀 |
Hは、足尾へ山の集まりに。
足尾、と言えば、足尾鉱毒事件である。 日本最初の公害問題だったっけ、とウィキペディアをのぞく。
この事件は、明治初期に古河鉱業が起こした。 そして、なんと現在もまだ収束していない。
事件の発生と経過をみると、とても100年前の事件とは思えない。
被害の過少評価、事実の隠蔽、欺瞞、言論封じ込め、 そして民衆の受けた肉体的、精神的、社会的苦痛は、
現在進行形である原発事故をめぐる実態と、恐ろしいほど同じだ。
国家は、過ちを認めない。 企業は利益の追求をやめない。 古河鉱業は存続し、東京電力もきっと存続する。
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我々の文明は、科学の未知を無視して、その恩恵だけ先取りしている。 そうだから、100年に一度ぐらいには、 明白な公衆への健康被害や環境破壊−公害問題−が起きる。
公害が起きることは、為政者にとって、わずらわしい。
普段はおとなしい羊の群れのような民衆をざわつかせ、補償という不名誉な経済的損失を生じさせ、政治的に不安定になる。
だから、国家は、公害という概念を封じ込めた。
公害基本法を環境基本法に発展させるという巧みな方法で、 公害は過去のものでもう起きない、と思わせることに成功した。
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でもこうして見てみれば、足尾鉱毒事件の時代と、何一つ変わっていない。 原因も、結果も、対策も。
国会に質問に打って出て、天皇に直訴した田中正造は有名であるが、 現代の田中正造がいるとすれば、さしずめ小出裕章助教あたりだろうか。
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