大切なものを失った時の事を はっきりと覚えている。 人は痛みや悲しみを忘れながら生きている ものだけど、記憶は愚かで残酷で。 その時の思いが蘇れば、ちゃんと苦い痛みが 心の中に波紋のように広がって。 決して全てを忘れているわけじゃないと 今更ながら思い出させられる。 特に私はしつこいようで。 まるでそれに囚われてるかのように生きている。 なくした人を忘れる必要はないけれど、 そこに留まる事もまた良い事ではないと分かっているのに。 だけど、希望はある。新しく芽吹く命もある。 そしてそれは何にも変えがたく素晴らしい事だと 改めて私は今日知ることになる。 人が生きるこの世界は、何て素晴らしく 何て驚きに満ちて、神秘の連続なのだろう。 いくつになっても教えられる事は、 とても些細でとても大切な たった一つの事だったりするのです。
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