「して、今年もそなたが?」『はい。よろしいでしょうか』 二人にとっては当たり前のことなのであろう。端(はた)から聞けば説明の足りない会話が交わされる。「愚問じゃの」 『永き者の寵を受ける御方』は楽しそうにくつくつと笑った。そうして次に来るはずの少女の言葉を先回りして問い掛ける。「それで? 今年は連れがいるのであろう?」『はい』 鏡の向こうのアンジュがにこりと笑って頷いた。