オトナの恋愛考
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夏が来ると思い出す。
それは遠い日の昼下がり。 湖畔の宿、日暮の声。 木陰の歩道。まばゆい太陽の光。
誰とだったのか、思い出せないわけではない。
ひろとの夏は今年で何年目だろう。 それは箱根の避暑地であったり、伊豆の山奥であったり。 海が見えるホテルの時もあった。数えきれない夏の思い出。
今でも彼は毎月きちんと私に会いにきてくれている。 でも今月は断った。友人たちとの旅行の予定を入れたからだ。 わざとではない。けれど日程を変えようと思えば希望は出せた。 でも毎月第3金曜日。ひろが必ず逢いにきてくれる週末に 私は友人たちと約束をした。旅先からメッセージを送った。
毎月というお決まりはそろそろ終わりにしたほうが良い。
毎月逢わなくても良いのではないか。 当たり前のように逢瀬を重ねることに抵抗を感じるようになった。 逢わなくたって大丈夫。なんなら年に数回でもハレノヒは取っておいた方が良い。
でもひろと逢わなかった1ヶ月目には彼が恋しいと感じる 忘れかけていた感情。
もう梅雨も明けるだろう。
ひろは私と逢わない時間の過ごし方を始めたようだ。 私の知らない山へ今週末もまた登るのだろう。
雨上がりの夏の匂い。もうそこまできている。
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