続き。
私、こういう細かい体感描写は自分自身で想像してみるんです。
なりきりイメージ。
咄嗟に思い出せるのは、「
蝶の影のいろは歌」で、愛宇が銃弾握り締めるところ。ここに鉛の銃弾があるのだぁ〜っと念じて、愛宇はこんな気持ちでぎゅぅっと握り締めていて〜っ、と。
で、想像してみる。
両二の腕と両太股に輪。内側から……。
れっつらごー。
輪の周辺から、侵食されるかのように内側から体が変わっていく。
骨、血管、神経、筋肉、皮膚。脂肪が落ちて筋肉質になり、強張った骨格に変わる。体の先と胴へと広がっていく。胸部は膨らみがなくなり、平たくも厚みのある胸板に。下腹部は内臓が動いて大きく入れ替わる。顔の表情筋を波が撫で、手足の指先まで渡って、終わる。
約、十秒。
全身が丸みを失い、完全に男の体になったのを感じて星蘭は目を開けながら息を吐く。
これは、まだ慣れない。女に戻る時には同じ順序でちょうど逆のことが起こるのだが、そっちはすごくほっとする。
痛みはないけれど、感触の生々しさが何ともいえない。あった臓器が無くなり、なかった臓器が作られるのが一番辛い。こう、ぐにょぐぉん、みたいな。
ぺたぺたと顔と胸を触る。顔も体と同じく男の外見になるのだが、元々の顔とあまり変わらない。劇的に変化して別人になりたいわけではないが複雑なものがある。女の子らしさ溢れた可愛らしい容姿、ではないのは自分でよく知っているので早々に諦めたが。ほんのちょっと、中性的な雰囲気になるだけで済んでしまう。
胸に触ると、あるのは筋肉。他人から、服の上からでも見た目で「男だな」とすぐわかる特徴。……全くない。ぺたんこ。
視線のさらに先にあるものは思考から排除する。嫌なものは嫌。
草を踏み分け、皆の所に帰ることにする。体が意思とちぐはぐに動くような感覚が収まるのが回数を重ねるごとに早まっている。
まだ続く。(おい)
内臓は自分で「うぇぇ」ときました。
この白竜ドリは自分ヒロインなので、ひたすら自分のつもりです。
報われぬ恋ですから。