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2025年03月01日(土) ■ |
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東京サンシャインボーイズ 復活公演『蒙古が襲来 Mongolia is coming』 |
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東京サンシャインボーイズ 復活公演『蒙古が襲来 Mongolia is coming』@PARCO劇場
泣いたり笑ったり震撼したり カゲアナが豪華なので開演15分前くらいには席に着いとくといいかも 東京サンシャインボーイズ復活公演『蒙古が襲来』
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半分冗談だったであろう「30年後に再結成」が実現したことは、とても幸せなこと。そこに伊藤俊人がいないことは、とても寂しいこと。
何を書いてもネタバレになりそうだ…けど事前に発表されていたように伊藤さんもいます むしろ笑うシーンなのに泣いちゃった…あなたもワタシもみーんな歳とったなーでも伊藤さんはずっとあのときの伊藤さんだよ
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それでも劇団は、伊藤さんの声を連れてきてくれた。かつて、演劇は“風に記された文字”であるため記録には残さないことをモットーとしていた第三舞台の鴻上尚史が、岩谷真哉が亡くなった際ご両親にお渡し出来るものがないことを悔やんだというエピソードを思い出す(写真はあったし、その後音声も提供があったんですよね)。伊藤さんの残された声は、今回舞台に立っていた。
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750年前のある一日を115分で。膨大な時間、ちっぽけな人間の、それでも芳醇な一生。三谷幸喜が役者に「当て書き」する、ひとりひとりの人生。『リア玉』ではなくこれをやることにした意味、というのはやはり考える(三谷さんは「玉の製作に時間がかかって無理になった」とかいっていたが・笑)。タイトル通り元寇前の話。蒙古は来るのか? 来ないのか? 長崎のちいさな島にさざ波が立つ。歩き巫女や鎌倉幕府、壇ノ浦で失われた宝剣など、『鎌倉殿の13人』視聴者が「ああ!」となるモチーフを絡ませつつ、来ないと楽観的なひと、来ると疑心暗鬼なひと、来るという実感があるのにそれを敢えて隠すひとと、右往左往する市井の人々を描く。
観客は史実を知っている。しかし物語はその「知っている」をもう一段階掘り下げ観客に示す。あまりにも残酷な、それでいてなかったことのようにされている史実を。神風とやらが吹く以前に起こったこと──対馬侵攻や壱岐侵攻を、どれだけのひとが普段意識しているだろう。宮地雅子の台詞はストレートな分強烈。幕府の功績がなんだというのだ、いつだって矢面に立ち犠牲になるのは市井の人々なのだ。演劇は現在を映す鏡だということを劇団は見せてくれた。
では2011年に、三谷さんが『国民の映画』を書いたのは何故だったのだろうなんてことも考える。『国民の映画』は『三谷幸喜生誕50周年企画』として連続上演された作品の一本だったが、ラインナップ中唯一三谷さん自身からの企画だった。今回、最後に登場人物が観客に語りかけるという手法は『国民の映画』でも起用されていた。あれは死者からの言葉だった。昨年ノーベル文学賞を受賞したハン・ガンの言葉、「過去が現在を助けている、死者が生きている者を救っている」を思い出す。
歩き巫女は観客に呼びかける。あのとき生き残った(かも知れない)者、しかし現在からすればとうの昔に死んでいる者。此岸と彼岸から投げかけられた、希望にも絶望にもなるその言葉をひしと受け止める。鮮やかな幕切れ。
それぞれの今の活躍ぶりは知っている。でも、劇団の公演となるとやっぱり特別。演じる役柄、あの間、あのやり取り。初っ端に出てきた梶原善にわあ善ちゃん! とそれだけで涙が出そうになったり、こんな偉そうなお調子者の小林隆、劇団公演以外ではなかなか観られないよなと思ったり、世間ではヒロトの弟といわれることが多いけど、ここではヒロトは甲本雅裕のお兄ちゃんだよね! となったり。宮地雅子がプリプリする役回りもそうそう、となり、西村まさ彦の偏屈ぶり(役がね)と不器用な優しさ(役がね)も健在ねと笑顔になる。小原雅人やっぱり格好いい、野仲イサオやっぱりうざい(褒めてる)、ひたむきな相島一之にそうそうこれを観たかったとニコニコ、阿南健治のムーンウォークにはまだこんな手札を持っていたのか! と驚く。近藤芳正が登場すると「待ってました、永遠の客演!」と心の中で大向こうを飛ばす。まろやかな所作と声で魅力を振りまいた谷川清美、いつでも底抜けに明るく芸達者な西田薫、そして研究生(!)吉田羊にも感謝ばかり。
「3で割れない」場面の長さはなんだったのか。ああいうグダグダにすら固唾を飲んで見守ってしまう。謎がひとつ謎のまま教えてもらえないというのもいつものことで、発明した玉子料理ってなんだったんだよとニヤニヤし乍ら劇場を出る。ニヤニヤといえばもうひとつ、時代設定がそうだからってのもあるけど、地面に直接座るシーンが多い。その上座ったり立ったりの動作も多い。それをいちいち見せ、「若いふりしてるけど立つときいちいち膝に手をつくじゃねえか」なんてツッこむ台詞もある。わかる……わかるよ! すっと立てなくなるのよ! 実感を伴い痛く共感する台詞であった。偉いひとは椅子に座らせなきゃ、鎧着てたら胡座をかきにくいからなんてわざわざいうところもあって、そうなるとこの演者はホントに椅子じゃないと立てないのかもなんてこと迄勘ぐってしまう。これワザとだよなー、三谷さんいじわる〜!
この他にも時の流れを感じさせる台詞があちこちにあり、消えていく記憶についてのくだりに胸を衝かれ、老境サンシャインボーイズここに在りと泣き笑い。いいもの見せてもらいました。次は80年後に『リア玉2』ですって。観られる筈がないと知りつつ、それでも待ってると笑顔で拍手を贈ってしまう。30年というときの流れを噛みしめる。あっという間だった、同時に長い長い時間だった。至福の155分、無事千秋楽を迎えられますように!
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・カゲアナについて。開演前は山寺宏一、終演後は戸田恵子。15分前くらいから喋り始め、従来の諸注意に加えておかしなこといってんなーやたら長いなー、そしてこの声……と思っていたら山ちゃんで客席がどよめいた。5分前にもう一度やるのかなと思っていたけどなかった。長かったもんな(笑)。終演後の戸田さんのアナウンスも素敵で、拍手が起こりました
・宣伝美術が鳥井和昌だったのもうれしかったです!
・そういえば小林さん、『国民の映画』のとき〆の長台詞を噛む訳にはいかない、咳払いさえ許されないと煙草やめたっていっていたなあ。今回の羊さんもすごいプレッシャーだっただろうな。見事な〆でございました
ロビーには歴代のチラシ(ポスターじゃなくて)が。ワタシが最初に観たのはこれでした
[image or embed] — kai (@flower-lens.bsky.social) Mar 1, 2025 at 22:15
TOPSに並んで当日券で観たなー、『12人の優しい日本人』『ショウ・マスト・ゴー・オン』が大評判になったあとくらい。出会えてよかったな
・上演中に地震が来たり(新潟県中越地震当日と東日本大震災の翌日。それ以外にもちいさいものなら5〜6回…いやもっとあるな……)謎の体調不良に襲われたりと、個人的に何故かPARCO劇場とは相性が悪いので違う意味でも緊張していたのだった。無事終わってホッとしている
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