オトナの恋愛考
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2015年05月13日(水) 里山と銀幕のスター


もう一ヶ月以上も経ってしまったが
先月の最初の週末に伊豆の里山の宿にひろと泊まった。

年度初めで忙しい彼に変わって私がセッテイングをした一泊旅行。
田舎に里帰りするように過ごせるのがこの宿のコンセプト。

離れもあったが一番帳場(フロントのこと)や大浴場の棟に近いので
本館の旅籠風の部屋を予約した。敷地内には小川が流れ水車や畑もあって
本当に故郷の田舎へ休暇で里帰りしたような気分になれた。

別棟のレストランで海鮮しゃぶしゃぶの夕食を食べた時に
私たちのテーブルを担当した年配の粋な感じの仲居さんに
ひろがとても気に入られてしまった。

戦後の日本を代表する映画俳優、往年の銀幕のスター長谷川一夫に似ていると
「旦那さま、素敵ですねえ、とてもハンサムで羨ましいわ」と散々褒められ、
現代のイケメン俳優なら素直に喜べるのだろうが
滞在中からずっとそれは私が彼を面白半分に揶揄うネタになってしまい
それから数日間はネットで検索した旅ガラス姿の画像を見ては楽しい気分でいられた。
本人はあまり嬉しそうではなかったが昔風のハンサム顔なんだろうから
もう少し嬉しそうにしても良さそうなもの。
「本当に綺麗な顔立ちでいらっしゃるわねえ」とうっとりと見つめられて
私も苦笑いをするばかりだったが、それは楽しい思い出になった。

「今回の宿もセンスの良い選択だったね」と褒められた。
「思ったより良い宿だったね。イケメン俳優に似てると褒めてもらったし」と
冗談を言ってまたからかった。
ひろは確かに目鼻立ちもはっきりとしていて穏やかな風貌でハンサムな顔だと言われたら
たしかにそうかもしれないけれど、最近は少し髪の毛も寂しくなってきて
年相応にお互いにもう若くないことは自覚しているが、
中年の長年連れ添った夫婦に見られるものそう悪くはない。

以前のように激しく燃え上がるという関係ではなくて
静かに細く長く愛しあえたら良いなあ、と切に願う。
そして密かな関係であることを少し悲しく思い始めた自分を律することも大事。

あと何年、何回彼との思い出を作っていくことができるだろうか。
現実と非日常の狭間で静かに燃え尽きていくのだろうか。
人生のイベントを共有できない関係は不毛だとは言い切れないが
決して幸せではないということが歳を重ねていくうちに
わかってしまっていくのが少しこの頃切ない。


夢うさぎ |MAIL

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