オトナの恋愛考
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先週末、また今月もひろが逢いに来てくれた。 私たちのことを唯一知っている女友達との会話では お互いに婚外恋人がいるのでなんでも話している関係で 「会うのは良いけど昔みたいにうきうき手放しでは楽しめないね」 「ご飯を一緒に食べたりするのは良いけどあっちの方はもういいかもね」 などと言いたい放題言っているが(彼女はすでに孫がいるから最近落ち着いてきた)
実際にひろに逢うと嬉しくてはしゃいでいる自分に驚く。
今回はおぜんだてはせずに二つのコースを提案してみた。 一つ目はいつもの海岸沿いをドライブするコース。 二つ目は七福神巡りのコース(これはその女友達の提案)
結局ひろは私の顔色を見ながら七福神巡りのコースを選んだ。 運転はひろが代わってくれるから私はナビゲーター。
そのお寺はひっそりと存在した。 ひっそりしているが趣は極彩飾は東南アジアの寺院のようだった。 誰もいない敷地内に入ると蝉の鳴き声だけが響きわたっていた。
小銭を支払い七福の神様が宿る洞穴に入った。 仄暗くひんやりとした湿った空気が肌を包んだ。
「パニック映画だとここで閉じ込められるんだよね」 「ホラーだったら黒い影が見えるとか」
などとふざけながらそれでも財運、健康運、縁結びの様々な神様に お賽銭をあげながらスタンプを押してコースを進んだ。
こんなデートもたまには新鮮だった。 それからランチはイル・キャンティにして パスタや食べ放題のピッツアを楽しんだ。 いつまでもその気にならない私の様子に業を煮やしたのか 「水着が必要のないプールで泳ごうか」 ひろはニコニコしながらそう一言つぶやくと 勝手に何度か利用したことのある海のそばのホテルに向かっていった。
若い頃のように貪欲に求めることがなくなってきたけど やはりひろに触れられれば心地よい。
今回は久しぶりに盛り上がって彼を求めた自分に驚いた。 彼が私についた優しい嘘を、知らないふりをしてさりげなくつぶやいた。
きっと少しばかりのジェラシーのスパイスによって ご馳走がもっと美味しくなるように お互いに新鮮な気持ちになったからだろう。
ひろはとても誠実に素直に情熱的に私を求めてくれたから 私にもそれが感染したのだと思う。 純粋に駆け引きなしに素直になれば 私たちはまだ若い頃に戻ったように お互いを求めて気持ちの良い時間を共有できることに気づいた。
よくばりな神様たちのプレゼントだったのかもしれない。
「うさちゃんは美味しい」 「うさちゃんかわいいよ」 「うさちゃんに定期的に触れていたい」
こんな言葉を聞いたのも久しぶりだったような気がする。
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