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猛毒。
リョウ
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2001年10月06日(土)
オレ。

これは逃げかもしれんよ、と。
自分の中で思ってる。
だけどこの、
自分の中の、
どうしようもない毒を、
吐き出さなきゃ。

やばいんだもん、もう。



2001年10月07日(日)
毒の中身。

あたしという人間の中は、
毒と嘘が、
けっこーな割合を占めている。

違和感さえなく、
当然のように。

こういう自分を理解してる。
自分のことをわかってる。
認めている。

だから。

嘘をつきます。
この嘘が、
間違っているかどうかは分からないけど。
あたしは、
あたしが今まで生きてきた人生の中で、
こういう術しか、
学んでこなかったんだ。

まさか、大好きな友達と。
好きな人が同じだとは、
思わなかったよ。



2001年10月08日(月)
エセ笑い。

頭痛。
考えすぎでしょうか。
ヤバイ。

好きな人ができました。
ひさしぶりに本気なようで、
だけどあたしは適当な人間なので、
というか、
自分のことを適当な人間だと思っていたかったので、
本気なんかじゃないよと、
思っていたかったけど。

無理だったみたい。

写真もプリクラも、
愛しすぎてダメ。

ダメ。

争う気なんかないくせに。
勝つ気も、ないくせに。
勝てるという自信もまったくないので、
応援さえしてしまいそうな勢い。

だけど、
それだけはやめときます。
言わないのは嘘じゃないけど。
「応援するねっ」は嘘だから。

勝つ気はないけど。
あのふたりがくっついたら、
あたしはもう、
エセ笑いしかできなくなるよ。



2001年10月09日(火)
罪悪感。

あたしがアイツを好きなことを、
あの子は知らない。

心がうずくのは、
罪悪感からかな。


あの子がアイツのことを好きだって聞いたのは、
あたしが酔っ払ってトイレにこもってる時だった。
37度のジンがあたしの意識をクラクラさしてた。
そんな時にあの子が言った。
アイツが好きなんだって。
酔いが回ってくらくらしてたあたしの脳は、
その瞬間にざあっと冷えた。


だけど、
あたし卑怯だから。
すごい卑怯だから。
後日、その事について詳しく聞かないかわりに、
言った。

「も〜うちあの日のこと、酔いすぎてて、全っ然覚えてないんだよね〜!!」

嘘つきです。
強烈過ぎて、
ショックでかすぎて、
そこだけはちゃんと覚えてる。


だけどやばいことに。
あたし、自分がその時なんていったか覚えてないんだ。
「アイツのことが好き」
っていうあの子の告白は、
「リョウに言うつもりはなかったんだけど…」
っていうイイワケつきだった。


あたしはその時なんて言ったんだろ?


「あたしもアイツが好きなの」
か。
「へ〜そうなんだ〜」
か。
…それとも、
「じゃあ応援するね」
か…。


なんだかあたしの言葉、
口から出てくる全部が、
嘘みたい。


 



2001年10月10日(水)
変化。

あたし今まで、
あの子の前で当然のようにアイツの話題をしてきたの。
お互い隠してたんだけど、
お互いアイツのこと気になってる状態だから、
ムチャクチャ話盛り上がってたんだよね。


だけどさ。


ちょっと状況が変わっちゃって、
だけどあたしは、
あの子がアイツのことを好きなことを、
「知らない」
ことになってんだし。


変化を見せたら、
感づかれるかもしれない。
それはヤバイ。
勘弁。

うまくいかないなあ。
あたしが「オンナ」として、
うまく機能してないヤツだからこそ。

うまくいかない。


うまく、いかない。




2001年10月12日(金)
オナマエ。

あの子の名前は、
ユウコといいます。


アイツの名前は、
トミタといいます。


偽名だけどね。
なんだかややこしくなってきたから。
命名です。



2001年10月13日(土)
先輩。その名もじょーしんさん。

あたしが敬愛する…、
イヤ、
敬愛はしてないか。


あたしが好きだった…、
イヤ、
なんだかその「好き」は誤解を招くか。


あたしが仲良かった…、
イヤ、
実際仲良かったことなんて一度でもあっただろうか。



あたしの…、
知り合いの、
普通に話せる程度の、
一度遊んだことのある程度の、
だけどなんだか存在の近かった先輩が。
どうも大学を辞めるらしい。
あたしはそれを、
ユウコから聞きました。


あたしはその日ゼミの友達と遊んでいて、
中にはユウコももちろんいた。
ユウコはあたしの大好きな女友達。
ほんとに大好き。なんだけどね。


ユウコがトミタからのメールを見て固まった。
先輩が大学辞めるがどーのって言う話。
2人してショックで、
ぼーぜんとしてた。
なついてたし。
傍若無人なんだけど、イイヒトで。
先輩が。


だから辞めるっての知ってショックだった。
しかも理由が、バイトしてたファミレスに就職…。
…大学卒業してからでもよかったんじゃないでしょうか、先輩…。
で。
しばらくショック隠せずに、
テンションだだすべりになったけど、
なんだかそのうち、


トミタとメールしてるユウコに嫉妬してるらしい自分を感じました。
別に、
あたしがトミタとメールできないとかじゃないけど。
なんか。
妙なショックが。


馬鹿みたいだと、思った。