あたしがアイツを好きなことを、 あの子は知らない。
心がうずくのは、 罪悪感からかな。
あの子がアイツのことを好きだって聞いたのは、 あたしが酔っ払ってトイレにこもってる時だった。 37度のジンがあたしの意識をクラクラさしてた。 そんな時にあの子が言った。 アイツが好きなんだって。 酔いが回ってくらくらしてたあたしの脳は、 その瞬間にざあっと冷えた。
だけど、 あたし卑怯だから。 すごい卑怯だから。 後日、その事について詳しく聞かないかわりに、 言った。
「も〜うちあの日のこと、酔いすぎてて、全っ然覚えてないんだよね〜!!」
嘘つきです。 強烈過ぎて、 ショックでかすぎて、 そこだけはちゃんと覚えてる。
だけどやばいことに。 あたし、自分がその時なんていったか覚えてないんだ。 「アイツのことが好き」 っていうあの子の告白は、 「リョウに言うつもりはなかったんだけど…」 っていうイイワケつきだった。
あたしはその時なんて言ったんだろ?
「あたしもアイツが好きなの」 か。 「へ〜そうなんだ〜」 か。 …それとも、 「じゃあ応援するね」 か…。
なんだかあたしの言葉、 口から出てくる全部が、 嘘みたい。
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