はじまりのウタ。
Mail / いづる
非現実から現実へ。
会社のビルから皇居の外周が見える。

いつもはランナーで人が絶えないのだけど、
この日は夕方まではとりあえず避難している近所の会社の人、
夜は歩いて帰宅する人でいっぱいになっていた。

道路も車で埋め尽くされているけど、
まったくもって動かなくて、どんどん人に追い抜かれ。

テレビでもまったく同じ状況が放送されている。

夜になっても、鉄道は全然動かない。
被害があるわけではないから、点検が終わったら動くはずだけど、
さすがにみんなに焦りの色が見え始める。

諦めて歩いて帰ろうか・・・
という人もいて。

でも、基本的にみんな家は遠いので、
歩いて帰るといっても数時間じゃすまない人ばかり。

諦めて&時間つぶしに飲みにいこうか!?
みたいな人もいたけど、
大半さすがにそれは気が進まない・・
お店も空いているかわからないし。
エレベーターが使えないから、
帰るためじゃなくて下に降りるということにも、躊躇いがある。
(戻る労力が恐ろしい・・

でも気づくと19時も過ぎていて、
おなかが空いてきたのは確か。
周りの様子が気になるのもあるし。

折衷案として、
(比較的)若い社員が買い出し部隊となって、
コンビニに食料を買い出しにいってもらって、会社で食事をとることに。

コンビニは普通にやっていて、
同じような買い出しの人が増えてきている様子。

食事しながらも、
みんなでテレビに見入っていると、
徐々に被害の様子が流れ始めた。

東北の様子、津波の様子。
千葉での火事。

まるで、映画のような、としか言いようがなく。


それでもただ、テレビを見ているしかなくて。
現実のものとと思えないからか、
たいして何も考えられず、
ただただ、驚きやショックしかない。

テレビにくぎ付けになった。

大変なことに、なっていた。


メールも携帯もつながり難かったようで、
夜になって心配した関西の家族や友人からのメールが一気に入ってくる。
見たところ、東京は大丈夫そうだけど・・
関西などにはどう伝わっているのかな。

会社にいるおかげで、
人もたくさんいるし、
ビルの防災センターには警備の人もいるので、
なんだか安心感がある。

地元を離れて近所に知り合いも少ないから、
うちで一人だったら、かなり、心細かったかもしれない。


22時くらいかな?地下鉄が徐々に動き始めたとの速報が入る。
家族が心配な人はいち早く帰宅。
朝まで運行するようなので、
それほど急がない人は混雑を見越して様子を見ながら帰宅。

25時頃にはほとんどの人が帰宅して、
事務所は数人になった。

私はJRなので、土曜日の朝まで動かない様子。
帰る人を見送りながらも、テレビの前から離れられない。



時々、地震警報が鳴り響き。

時々、余震が起きる。


テレビで報道される、光景。

現実でない感じの、長い長い夜が、続いた。



朝方になってやっと、JRが7時から運行するとの報道。
混雑を見越して、時間を置くことに。
結局、8:30に会社を出る。

ビルを出るのが一日ぶり。
街中の様子はごく普通で、
工事もやってるし、お店も開いているところが多かった。
いまから仕事に出勤、て感じの人とも多くすれ違う。

なんだか、普通だな、と拍子抜けというか。
現実に戻ったような・・
昨日のは夢なのかしらと思ってしまうような感じだった。


電車も本数は少ないものの、特に混乱なく運行。

会社が被害がなかったので、何も考えず、
10時半頃に自宅にたどり着く。

ドアを開けると、玄関入ってすぐの台所で、
高い棚が倒れて、食器は飛び出していて・・・
これはかなり、現実的なショック。

とりあえず現実逃避で寝てしまいましたよ・・


2011年03月12日(土)