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―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2008年12月15日(月)
今世紀最大のアトラクション。


そこそこ忙しないとかほざいていますがそんな奴がまたしてもネットの深みにはまっていましたよっと。
そもそも足繁く通っている某有名レビューサイト様で、一時代を築いたネット社会を云々という企画染みたものをやっていまして(投げやりな説明)、その途中で嘗て一世を風靡したという触れ込みで消滅してしまった場所のミラーサイトが紹介されていたのですが。
検索すれば出て来ますが、幾つかあるのでどれを薦めるといいのかがわかりません。ただ、そのレビューサイトから行ったサイトは頁内スクロールがいらっとしt以下略
ウィキペディア先生の魅力に勝る魔性で翻弄され続けました。時間のある限り御飯も食べずに三日四日費やしていたように思えます。うわお前なんて寂しい誕生日! いや、有意義でしたよ。

ま、ワタクシが面白いというものですから、大変鬱々なんですけどね☆

という訳で皆様時間と心を崩壊しても許される時間的余裕がおありでしたら是非とも『絶望の世界』を堪能下さいまし。
何? そんな説明で見たくなる訳が無い? そりゃ御尤もです。それではレビューサイト様の一部を引用しつつネタバレしない程度に解析していきます。

先ず、その書き方。中盤はそうでもないですが序盤の、そこで引き込んでおけばみんな惰性で読んでくれるさ、というポイントまでが、非常に読み易い。
精神状態は兎も角として言葉がそこまで難解ではないのと、日記という形式。一日数行程度で綴られ日付と天気がこれでもか目を覚まさせる。つまり区切りが多く、小説がいやという人が結構共通して懐いているであろう、膨大な字数を見てると滅入る、という最大のネックを外しているんですね。大体こんな事をレビューサイト様が言ってましたw
ですが実際、その頁に飛んでみてうわ結構話数あるなと敬遠しそうだったのも束の間、読んでいく内に引き返そうなんて気が無くなる。要はその読んでみようという肝心要の第一歩を踏ませてくれるというところが、たったそれだけにして重要なんでしょう。

で、本編の魅力としては、トリックというよりも、書く事と書かない事の選別が巧みだな、と。例えば一章だけでも完結出来ると思うんです。一つの話として、終わりと言われたら納得出来る。
だけど二章に入る事によって一章ではわからなかった事が判明したり思いもしなかった事を謎として提起してくる。基本的にはその繰り返しです。
ただそのどんでん返しが常軌を逸しているといっても過言では無い程凄まじく、且つ実に緻密に計算されている。ブラッディマンディなんて目じゃありません←
いや、あれはどうにも分かり易過ぎると言いますか、いい意味で漫画的演出なんだな、と。例えば先週のさる人物の正体についてですが、あんだけフューチャーされてる奴がそのままストライクな訳ねーだろw みたいな。……ちょっと話が逸れました。
印象操作と、それによって植えつけられた思い込みの利用方法とが、相互作用どころかかなり過剰に共鳴している感じ。ただ、誤認識でしたと言いながら結構平気で嘘もばら撒かれるから、何処までを遡って疑えばいいのか分からなくなって思わず終盤また膨大な資料を始めから漁りたくなったのは秘密です。しかし精神の安寧を考えれば再び目通すならば数ヵ月後とかにしないといかんです。自己管理が大切!

そんな振り回し蝶大作の中で、自分は某先生が一番すきかなぁ、とやや疑問系ながら。なんの先生かは全部読めば判って頂けます。間違っても哀れな勘違いをされた方ではないのです。あ、考えたらこの人の割り振られたものもあの人によるそうした意図があって、嗚呼、いや、やっぱ不快な深いな絶望の世界……
この先生の凄まじさは時折話の中のリアリティを奪ってしまうけれどわからないなりにがむしゃらに、形振り構わず自分は違うんだと見せようとする姿勢だとか、そういうところが結局また強引にリアリティだと突きつける。
この人に辿り着くまでも長いもので。何せ序盤の段階では、特に言及されていない為印象に残っておらず、でもまぁそんなもんかな、で終われるんです。それが次第に、なんというか、実は温度差があったのでは、と思い始めたのは二度目の管理者の交代、の辺りでしょうか。うわまた判りづらいな。
ある人がある人についてその態度はおかしいと訝しむ日記から、言われてみればそうかなと遡る事、始めにまでいける。何処まで適応していいのか判らない、言葉の含みの幅広さ。
尤もそうしたつもりなくただただ話を作る度に新規で設定を創っているというのなら、でもそれも違った能力として素晴らしいと。既にあるものを拾い集めそこに嘘がなかったようにして驚くべき仕掛けになっていく。兎に角創意工夫が半端ない。

まぁそういう訳で皆様、徹底的に鬱々とした気持ちとひっくり返りたくなるくらいの驚きを求めている時は是非『絶望の世界』を御利用下さい。え、何この回し者っぷり。


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