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―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2008年12月29日(月)
河でも空でもなく、人間です。


そろそろ映画が肌に合っていないのではないかと疑い始めている冬の日。恋空もどうも、あれだ。
昨日の犬神家といい、基本的に文句というか批判しか出て来ないのが心苦しい。バッシングしかないのなら見た意味もなければ、そんな文じゃ読む意味も無いというのに、お付き合いで読んで下さる方もいらっしゃるかも知れない訳で。
それじゃ書かなきゃいいじゃんという結論は、思った事を表せないという不満にいとも容易く負ける訳です。嗚呼自己中人生絶賛謳歌中。
取り敢えず一発変換が犬が三毛と故意空な辺り主人の気持ちを理解している有能なパソコンです。犬がニャーと鳴いた日ですね分かります。

一応扱いとしては実話だかなんだかですっけ? その割にはなんとなしおかしかったり省かれている点が見受けられますがあれかな、これも映画化という制限時間故のものだろうか。
ノンフィクションやドキュメンタリーは、それが真実であるからこそ訴えられるものがある、というのは理解していますが、それにしてもエンターテイメントとして発表している以上は、面白くなければならないと痛感。過度な脚色でテーマを捻じ曲げる事が御法度でも、見て貰ってなんぼの演出もしないのは怠慢というもので。
戦争もののドラマでも劣悪な環境レポートでもなんでも必ず思う事です。作者様であり読者様視聴者様であるべきだ。話を作って貰い、話を見て貰う。ギブアンドテイクや等価交換に通ずると信じておく。

先ずキャラクターに魅力を感じない。百歩譲ってヒロは、まぁ、根は優しいという定番なんだとしても(いつの時代も二次元も三次元も最終的に求められるのはその辺だったりしますが)、行動の一つ一つに疑問が残るというか、例えば愚直や直球な部分は誠意を見せようという素直さやも知れませんが展開を読めていない先走りに映る。妄想に直走って現実が見えていない、とも。
でもそれはまぁ、ロマンチストとかに置き換えられない事も無く、問題はミカの方。先生すいませんガッキーのかわいさ以外あの人の魅力が見つかりません。
性格も言動も、純粋というより幼く、ひたむきというより自分勝手で、健気というより流され易い。必ずしもその限りではないにしても矢張りどうしても、一人称を名前で呼ぶと子供っぽさがより助長されたのも印象に悪い。

初対面や再会の際ヒロに対しその容姿から煙たがるのも、ファーストインプレッションは大事ですしそこで得た情報からしかその後の本質に迫る手立てもないですから警戒は理解出来ますが、教わった偏見に疑問も懐かず生きてきた生温い証拠。
誕生日プレゼントの花を冷たくあしらったのも、実際には引き抜かれた花がかわいそうだなんて思ってはいないのは明白で、紫の薔薇の人(違う)がヒロである、という現実を上記の理由で直視出来ず手っ取り早い拒絶の手段を探した結果博愛主義に見せかけるとか反吐が出る。
他細かくいうととても長くなるので中略して、結局最後は彼女はヒロの元へ走る訳ですが、それはつまりその間に付き合っていた彼氏はただのお慰みだった訳ですね判ります。

ただ若しかしたら、これは演者の方のせいも多少噛んでいるのやも知れない。正直、新垣さんに演技力があるとは思えないんだなぁ。
レイプされた時の震えぐらいは見れたものですが、そうした弱々しく保護対象になるような哀れっぽさは元々の線の細さでなんとかなっているのだけれど、他はただただミカの子供っぽさの強調に終始してしまっていたような。妊娠し更には産もうと覚悟を決めた、一度は母親だったようには、とても見えない振る舞いに顔つき。
父とムスメの時はすきだったじゃん、と振り返ってみつつ、若しかしたら、若しかしたらですよ古い記憶を辿った上での結びつけなんで強引で間違っているやも知れませんが、父とムスメの時は、いい歳こいた親仁が女子高生になってまいました、という不自然さ込みでの、及第点だったのかなと。
つまりロボット役ならもこみてぃが大ブレイクする、とそういう事です。NPCお嬢様のエルメスたそなら美咲さんが持て囃された、とも類似していますかね。

で、やっぱり、話を見終わっても得るものが無い気がするんだよなぁ。いや彼女の成長する姿に心を打たれた方にはまっこと申し訳ないんですが。
そこについては、設定の難はありつつも、これがノンフィクションの体をとっているからじゃないかと。
先述していたキャラクター性にも通じるんですが、根は優しい不良なんてステレオタイプに、何処にでもいる平凡な女学生とこれまた定型の、『ちょっとしたハードルもあるよ☆ラブストーリー』なんか腐る程ある訳で、それも漫画のみならず実生活にごろごろ転がっている訳で。
それでも敢えて漫画でやる場合、相手を学校中のアイドルや一芸に秀でているなど付加価値をつけ、主人公に己を投影した場合憧れても無理の無いパーソンにするなり、逆に己にひたすらコンプレックスを持ちながらもそれを克服するきっかけを与えてくれた、というような起承転結の真ん中が必要になる。
純愛ったって、恋愛している間は皆様基本的にこの人しかいないと思ったり世界で一番だいすきと思っていらっしゃる訳で、過去として振り返った場合の既に己の中で整理がついてしまっている記憶や、何処かの誰かの話に尾鰭がついた又聞きの噂なんかで、それは純愛じゃないだのなんだの決めるのはフェアじゃない上ナンセンスだ。
そんなものその時生きている本人にしかわからないし、わからなかった感情を後で名前をつけても合っているかどうかは、本人にすら答えはない。
ですから何一つ特別な要素無く、敢えて映画なんて媒体で見なくたって、ちょっとその辺の人捕まえてコイバナの一つ語って貰えりゃおんなじものはい出来上がり、という、薄っぺらさ? これが恋空であるがこその魅力? が感じられない。

しかし話が悪いのか映画が悪いのかわからないので、なんとも言えないなぁ。削られた箇所に挙げた不満点を解消するものがあるやも知れないし、ただ、括ってはいけないと思いつつも、まさかの絶望を味わったケータイ小説だからなぁ。今度からやおいはBLじゃなくてケータイ小説の事を指せばいいと思うよなんて笑いたくなるくらいの香ばしさだからなぁ。
どちらにせよ、矢張り編集さんが口を酸っぱくしていうキャラクターの魅力と、読者の共感役、というのは大事なんですね常考。


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