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■ 初めての入院
ボストンバックを大小それぞれひとつづつ抱えて、タクシーを降りる。 真夏の熱気に襲われて意識が一瞬遠のく気がした。
今日から、しばらくここで過ごすんだな・・・。 病院の玄関の前でちょっとだけ深呼吸をして、覚悟をきめて中へ入った。
最初に入院手続きのために一階の事務所へ寄った。 ここで入院保証金三万円を支払い、預り証を受け取るのだ。 そして、入院中に着るパジャマを借りるのでその申しこみも済ませる。 一日80円なら、洗濯のわずらわしさを考えると安いものだ。
二階へあがって婦人科外来受付で予約票を提出。 しばらく待つと、看護助士の方に名前を呼ばれた。 小柄な女性なのに軽々と荷物を引きうけてくださって、その後にくっついてエレベーターで四階の婦人科病棟へ向かう。 案内された病室は5人部屋だった。 一番出入り口に近いベッドが私の居場所として与えられる。 「今日から入られるちょびさんです。よろしくお願いしますねー。」 看護助士さんの言葉に、その場にいた患者さんがよろしくおねがいします、と応える。私も慌てて挨拶をする。
看護助士さんがパジャマを持ってくる間、ぽつんと一人取り残された感じ。 何から手をつけていいのかわからなくて、荷物もそのままになっている。 と、看護師さんが私を呼びに病室へ入ってきた。少しほっとする。 「いろいろお話を聞きたいので、別のお部屋へ行きましょうね」 空いている個室に一緒に入って、入院時に書きこむのであろう問診カルテに沿って細かい事をいろいろと聞かれた。 普段の生活スケジュールや食べ物の好み、おやつに何を食べるかまで聞かれて「アイスクリームとか・・・」と答えたらそのまま書きこんでいるのでちょっと可笑しくなってしまった。 それから面会にくるであろう人をあげてくださいといわれて、家族のほかにもう一人の名前をあげると、「彼氏ですか?」と言われてこの場におよんで照れてしまった・・・。 でも、「何かあった時知らせて欲しい人の名前をあげてください、病気が病気なので・・・」と言われて、我に返ってしまった。 多分大きな手術なので・・・という意味合いだと思うのだが、現実を突き付けられたようで冷や汗が出てきた。
質問が終わって病室に帰ってきた時はぐったりしてしまった。 何を言われるかとかなり緊張していたのだ。 ちょうど検温の時間だったので測ってみると、37.2℃ほどあった。 入院前は夕方になると毎日体温が37℃を超えていた。 卵巣が腫れているせいだろうと思ったけど、こんな体調で手術を受けられるのかどうか心配だった。
家族に電話をしたり荷物を整理したりしているうちに、夕食の時間になった。 18時からの食事の30分前にお茶が配られる。 私の名前のメモの下に「低残さ食」という文字が書いてある。 ご飯は離乳食のように柔らかく、おかずも細かくきざんであった。 スケジュールによると手術前は腸をきれいにするということだったので、消化のよい物を食べるという事なんだろうなと思う。 手術の準備が着々と進んでいるんだなぁという気持ちになり、ちょっと気が滅入った。
その夜は隠れてメールを打ったりTVを見ているうちに、いつのまにか眠くなって寝てしまった。
2002年07月19日(金)
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